MBTI別性格悪いランキングとかさ、バカじゃないの いい人悪い人くらい自分で考えろ

実質的に前のエントリーの続編です。全部特に実践で検証したわけではなく、今のところ全部思い付きで仮説を書いています。何かまた分かったことがあれば追記していこうと思います。

 

fakesam.hatenablog.com

 

 これも、昼ご飯の話題として何の責任もなくやる分にはいいと思うんです。特に、普通の学校だったり多様性の乏しい企業のように他人に対して何となく「いい人」「冷たい人」「変な人」というレッテル張りをするのが普通になっている集団であれば、そういう考えも出来るでしょう。

 こういう読者層が多くいるTiktokまとめサイトでこういう話題が流行るのは分からなくもありません。

 でも思うんですが、みんなが「あの人は良い人だよ」と口を揃えて言っていたとしても言うほどその「いい人さ」を感じられなかったり、逆に「あの人は難しい人だ」と噂されていても話すとめちゃくちゃ仲良くなれたって事よくありませんかね?少なくとも僕はよくあります。

 だとすれば、「いい人」「悪い人」の基準を一般化する事なんて基本的には不可能であると思うのです。これは「陽キャ陰キャランキング」以上に認めてはいけない事じゃないかと思います。陰キャ陽キャは結局のところ思考プロセスの結果として生まれるその人の行動を指しているのであり、その人の評価それ自体に与える影響は限定的です。しかし、いい人悪い人となると話は別です。その人のすべてが裁判にかけられていると言っても過言ではありません。

 ……大げさに言いましたが、シンプルに考えてもいい人かどうかを判別する絶対的な指標があるなんて考えること自体馬鹿馬鹿しくないですか?「他人の人間性くらい自分で判断したら」と思ってしまいます。MBTIはあくまでのその人の思考プロセスや判断基準を理解するための補助ツールです。

 他人がいい人か悪い人かなんてのは、結局その判断をする本人がどういった情報を重視しているかに依存します。「いい人」か「悪い人」かなんて、本質的にはその人がどういう行動をしているかという要素すら決定的か怪しいものです。本人の行動そのものよりも、結局その判断をする人次第なのです。

 MBTI的にどういう区分けが出来そうか

 このブログではMBTIがテーマになっている以上結局一般化する方向に行ってしまうのですが、少なくとも判断者(=他人を「いい人」「悪い人」と判断する人)の性質ごとの傾向を確認することで、無責任でふんわりとした「いい人」「悪い人」が跋扈している現状に一石を投じることが出来ればよいと考えます。判断される側の具体的な人物像はここでは考慮しません。タイプ別の判断者がどういう人を好むかを考えるだけで充分だと思います。

 その上で、判断者をNT/NF/SJ/SPという"気質"で区分分けするのがしっくり来そうだと思いました。この区分けはよく知られていますが、これらは要するに"直観+論理"、"直観+感情"、"内向的感覚"および"外向的感覚"に分けるという手法です。そもそもなぜこういった区分けになるのかという話は長くなりそうなのでまた別でやります。とりあえずこの区分けで、それぞれのタイプがどういう人々を「いい人」と捉えるのか考えてみます。

 NT型が考える「いい人」

 文句なしに「話が通じる人」でしょう。NT型は論理性を重視するだけでなく、その論理の中に少なからず推論や予測を多く混ぜ込みます。なので、結論としてはよく聞けばとても筋が通っている事も多いのですが、その思考プロセスが複雑すぎるのでその結論に至る過程をしっかり周りに聞いてもらった経験はあまりありません。その説明を諦めて客観的な結果を出すのを優先するのがNTJ型(Ni+Te)で、まずは自分の理解を優先してそもそも周りに説明しようとも思ってないのがNTP型(Ne+Ti)です。なので行動の表出としてはNTJとNTPでやや異なるものの、こういうプロセスで物事を考えているので、自分の考えを理解してもらえると嬉しいのは同じです。

 特にENTJは自分の立身のために思ってもない人を"いい人"と言って周ることはあるかもしれません。

 またINTPは周りが"いい人"と言う人を特段疑うこともないでしょうが(自己の探求には関係ないため)、自分の思考プロセスを尊重してくれる人に対してはとてもよくなつく傾向にあると思います。

 INTJとENTPは……周りの"いい人"評を全く信頼していません笑

 NF型が考える「いい人」

 「自分及び他人の洞察に寄り添える人」と言えるかもしれません。NFJとNFPでは判断機能がFi/Feに分かれます。INFJ/ENFJは予想通りでしょう。ただただ感情に寄り添うだけじゃなくて、その感情の根っこにある部分まで包摂できる人かをしっかり見ています。そこが不十分だったり、なんなら表面だけを捉えて共感するような人に対しては、他人が何と言おうが「いい人」と思わないかもしれません。

 INFP/ENFPのメイン判断機能であるFiはマイペースとよく言われ、INFJ/ENFJの対極にいるような気もするのですが、彼らはもう一つの優性機能としてNeを持ちます。これは他人の挙動から洞察を得る上で非常に強力な機能ですから嫌でも周りの視線をキャッチしてしまいます。つまり、自分とつながりのある相手に対して無関心でいられないのです。すなわち、いわゆるジブンゴトに対して周りがどう思っているのか、その思考プロセスを含めて気にならざるを得ないという点で、INFJ/ENFJと同じように「感情に寄り添うだけではダメ」でしょう。

 SJ型が考える「いい人」

 「一般的な常識の範囲内でいい人と言えるか」でしょう。
 自己弁護させてください。このエントリーの導入と組み合わせるとこれまでSJ型の悪口を言ってきたような格好に見えるかもしれませんが、もちろんそうではなくて、僕が憎むのは「いい人悪い人の判断基準を普遍化しようとする人」です。彼らは彼らで、MBTIの性格いい奴悪い奴ランキングを鼻で笑っていることも多いでしょう(特にSTJ型)。

 SJ型はそういう事ではなくて、素朴な感覚として一般的な判断基準から他人を自分にとってもいい人だと捉えます。「しっかり挨拶をする」「上下関係をしっかり守れる」「現実に即して説明が出来る」など、こういう社会生活において当たり前なことをしっかり出来るかどうかが最優先事項となります。周りの「いい人」評に対しても、ある程度「他人がそう言っているんだから嘘ではないだろう」という前提で向き合いますが、本人の常識に当てはまらない人であれば必ずしもその評判を妄信しません。

 その上でSTJ型であれば「不確かな仮定で物事を言わない人が好き」だったり、SFJ型であったら「周りの輪を乱さない人が好き」だったりします。

 SP型が考える「いい人」

 Se:外向的感覚を持つことで共通していますが、比較的SP型は他グループと比べてタイプごとの差が大きいように感じます。例えばESTPなんかはSeの影響が強く、その場のノリを共有できるかが判断基準になることが多い気がします。

 一方でESFPもSe第一機能なので同じかと思いきや、意外とFiのためか懐が広く、ノリが良くなくても自分に付き合ってくれそうな人なら「あの人は言うほど悪い人じゃないかもしれない」と捉える傾向があるようです。INFP/ENFPが時に地に足のついていない洞察で勝手に他人を好き嫌いするのと好対照です。

 ISTPとISFPはザ・マイペースでよく知られていますが、ISTPは話のつじつまが合っていればわざわざ相手を嫌うということはないようです。毎年多くのISTP生徒が入塾してきますが、あまり人間性を見てくるという印象はなくて、ひたすら「この人の言う事に納得できるか」ということだけを考えている印象があります。

 ISFPについては、ある程度自分の感情に寄り添ってくれそうな人であればあまり好き嫌いしない気がします。

 ISTP/ISFPいずれも共通しているのは、そもそも他人の人格に対して"いい人""悪い人"というレッテルを貼ることがあるのか疑問だという事です。彼らの言う「いい人悪い人」論は、他のタイプに比べてもずば抜けてぼんやりしたものだと思います。何となく相手を「いい人」だと認識したからと言って、特段本人の行動が変わるということもありません。

 まとめ

 あまり多くの字数を費やしてもしょうがないのでここらへんで切り上げますが、「判断者」のタイプ次第でこれだけいい人の基準が変わるのです。それを普遍化して「性格の良いMBTIランキング」を作ることがいかに無意味なことかよくわかります。

 所詮ここまで書いたことはほとんど仮説だったり僕の経験から来るものに限られますが、普遍化することがとても難しいテーマであることくらいは分かるでしょう。

 また、「いい人とはどういう人か」という判断基準が人それぞれであるのであれば、「良かれと思って」行動するパターンも相応に多岐に分かれるという事を忘れてはなりません。よかれと思って行動したことでも、どう受け取られるかは相手次第なのです。

 自分が行動する側にせよ行動を受ける側にせよ、人によって好みが違う以上、相手の親切に即座に100%反応することは難しいかもしれませんが、相手の言動及び行動とそれに対する自分の対応を絶えず反省することで、少なくとも自己の視野は広がります。相手の行動を毛嫌いするのはその後でも全然間に合うのです。

 その上で、相手に改めてこちらからアプローチをかけるのもよいですし、考えた結果距離を取る方がいいと思ったのであればそうすればよいのです。

 説教臭いかもしれませんが、自分の事を真剣に考えてくれる人とのつながり程貴重なものは世の中にそう多くないものです。

 一方で、特に何の目的意識もなくあなたと関わっている人も多く存在します。あるいは一方的に何かを搾取しようとして交友関係を維持していることもあるかもしれません。

 一概にそういう人間関係を切るべきというつもりもありませんが、安定的な人間関係(=いい人との関り方)においてギブアンドテイクは基本中の基本でしょう。相手がどういう意図であるかというのはコントロールできませんが、少なくとも自分がそれぞれの人間関係において「何をギブし、何をテイクしているか」と見つめなおすのは大切な作業です。

 それをMBTIをタイプ別に振り分けて一緒くたに「いい人」「悪い人」と区別しているようでは自己の内面世界をわざわざ危険にさらしているようなものでしょう。繰り返しますが、MBTIは自己や他社の理解を助けるツールにすぎず、内面のルールとはなり得ないのです。

 MBTIをエンタメとして楽しむのは、こういう思索の後にのみ許されることだと思います。MBTI自体はある程度しっかり普及してきているとは思うので、あとは公式の人たち頑張ってね