ISTP受験生の性格傾向・勉強法・志望校設定

 これまで偉そうにタイプ別の考察をしてきましたが、このブログのエントリーを見てもわかる通り、僕はS型の心を読むのが苦手です。特にSTJ型とは感覚的には全く相性が合わず、正直なところほとんど講師に任せています。ただ彼らは講師からのアドバイスを素直に実践するので、結果あまり手を焼かないで済むことが多いです。STJからは塾長として尊敬されることがあまりないのでそこは僕のFeが痛みますが、まあ仕方のないことです。

 一方STP型は講師に任せてばかりいるとあまり制御できていないのをよく見ます。特にISTPは個人主義が強く、アドバイスを全く聞かないことも多いので放置していると最初の計画から大きくずれてしまうことが多いです。とはいえ僕としてはTi特有の突拍子のない部分を理解できなくもないので、何となく最近はこっちの攻略をしていきたいと考えています。

 

性格の特徴

 ISTPは、Tiにより柔軟さを持ち偏見なく人のアドバイスを聞く一方で、自分にとって納得のいかない事柄に関してはかたくなに受け入れない傾向があります。これだけ言う時難しそうに見えますが、自分の中で納得がいけば一目散に頑張ってくれるタイプでもあります。指導側の力量が問われるでしょう。

 これがINTPであれば、色々相手の裏の裏まで考えて判断を下すのに対して、ISTPはSeにより自らの観察を重んじるため、こちらの言語化されていない意図を深い部分まで汲み取りません。こういうと悪く聞こえますが、逆に言えばこちらから明確に課題の意図を伝えれば愚直にこなしてくれることが多いです。日頃はとても理論整然としているので指導側はそれがおろそかになりがちですが、彼らに対しては「言わなくてもわかるだろ」という態度を取ってはいけません。こちら側の意図を先入観をなるべく排して伝える意識を持てば、必ずそれに応えてくれるでしょう。これはNeをもつNPにはない傾向です。僕自身Neがメイン機能であるため少し油断すると誤った方向に突っ走ってしまうので、そうならないように気を付けています。

 これまで指導側がNの場合の話をしていますが、指導する方がSTJあればあまり意識する必要もないでしょう。彼らはこれまでの経過を踏まえて現実的なアドバイスをすることに慣れているからです。前述の点から一番危ないのは指導側がSTPのケースです。必ず「どういう思考回路を経由した結果こういう課題を出すに至ったのか」を説明するようにしてください。Nの人はいざとなれば言語化できるので気を付けるだけでいいでしょうが、STPは思考の言語化に慣れていませんから、「とりあえず気合で頑張れ」となってしまいがちです。特に指導側がESTPである場合にありがちです。僕の前任がそういうことを言って洗脳していたので自分の弱点について戦略的に考える大切さを教えることに苦労しました。ISTPは自分の中で消化できない意見を押し付けられると、それを一切無視して独自理論で突っ走ってしまいます。ただ逆に言えば観察の結果をありのままにかつ論理的に伝えておけばそれを信じて頑張ってくれるので、本来しっかり気を配っておけば指導しやすいタイプでもあります。

 指導側がNの場合はあまり抽象的な説明にならないように気を付ける必要があります。16personalitiesには、AとTという区分があり、前者は自信家、後者は自己肯定感が低いというざっくりとした理解が世の中にありますが、どちらにせよISTPには「目に見える手がかりから導き出せる結論を信じる」という特性があります。自信が確信に至ったものについてはそれなりに頑固なので、「理解した」と認識したものについてはあまり疑いません。なので、不安な点がある場合は直接的に伝えるようにしましょう。「君は分かった気になっている」と伝えるのは気が重いことですが、自信ありげに見えるISTPでも相手の意見に納得できれば簡単に自分の意見を変えますから、強い気持ちで向き合うようにした方がいいです。代替機能にNiを持つのも厄介ですが、ちゃんと納得すればそれが転じてしっかり方針を転換してくれるでしょう。

 

指導法

 すでにだいぶ説明してしまった気がしますが、指導する側としては「論理的に、端折らず滾々と」がテーマとなります。どうしてもTi優勢タイプなので長期的に言われたことを辛抱強く守るのは苦手ですが、少なくともしっかり指導すれば2週間はその通りに取り組んでくれるイメージです。もし「なかなかいうことを聞いてくれない」と感じるのであれば、指導を受ける側のISTPも苦しんでいるため試行錯誤を行っている可能性が高いです。結果的に指導を無視しているように見えますが、本人なりに色々考えているのです。とはいえ指導する側としては心中穏やかではないかもしれませんが、それにへこたれずしっかりコミュニケーションを取ることを怠らないようにしましょう。

 劣勢Feなので「他人の善意を無視している」ことに無頓着なのです。ISTPは日頃からドライなので、個人的にはムキになって鼻を折ろうとしそうになってしまうのですが、しっかり意図を説明すればちゃんと感激してくれます。逆に言えば中途半端な善意ではその気持ちが伝わっているのかわからずこちら側が負担を感じてしまうので、ある程度腹を決めて接する必要があるでしょう。思っているほど反応は返ってきませんが、思っているよりも理解力は高いので、信頼をもって根気強く接することが大切です。

 ただ、見た目の通り共感性に乏しいISTPも存在しなくはないです。そういうタイプであればこちらからのアドバイスをやはり無視してしまう事も多いので、ある程度見通して接することも必要でしょう。ただ、ISTPは実際の潜在能力がどの程度なのか外面からは判断しづらいので、指導する側としては簡単に判断せず手を尽くすことが大切です。

志望校設定

 Ti-Seなので個人のスペック次第では幅広い適性を持っています。地に足を付けて目標を定めることが出来るからです。ISTPの代替機能であるNiへの意識がカギとなるでしょう。本来代替機能の発達は30代からと言われていますが、弱みだと気付くことはできるはずです。本来Niによりモチベーションを保つべきところを本人が弱みだと割り切って根性で補うことが出来れば、モチベーションを切らさず勉強を進めることが出来るでしょう。

 大学受験は勉強を始めてから点数が伸びるまでのタイムラグが大きいため、特にこれまでに勉強の貯金がない場合は簡単に挫折してしまいます。Ne優勢であればインプットをフル活用する対応力が、Ni優勢であれば現状に惑わされない実行力が結果にコミットするまでの燃料になるのですが、ISTPの場合は根性でその点を乗り切ることが大事です。もっと言えば「そういうものだ」と指導されたら(本人が納得さえすれば)割り切ってしまえる強さが魅力だと言えます。苦しい時期を乗り切ってしまえばTiにより頭の中がどんどん整理されていきますから、そういう適性を持ち合わせていそうなISTPであれば強気に志望校を設定してもいいと思います。

 そういう点が弱いISTPの場合は、どこかでソフトランディングを意識しながら指導していかなければなりません。とはいえ生徒の目標が高いからと言ってあまり無茶な課題設定をすると独自理論で勝手に明後日の方向に突っ走る可能性がありますから、本人が達成可能だと思えて、かつやりがいを感じることが出来る課題設定を意識して応対していきましょう。しっかりと本人が積み上げを実感できる指導を行えたならば、受験勉強が正念場に差し掛かるにつれて、本来の志望校でなくとも納得しながらある程度地に足の着いた意思決定をしてくれると思います。もちろん論理的な思考力はぴか一ですので、充分なインプットがあればどこかで爆発する可能性を秘めています。講師側としては、そういった可能性を捨てずに全力で指導してあげることが大前提です。