共通テストが得意なMBTIタイプ NT型がやっぱり有利?センターとの違いも

(7/3:細かい記載ぶりを修正しました)

 共通テストが始まってもう何年か経ちますが、いまだに文句が絶えませんね。

 共通テストでは個々人の「思考力」「判断力」「表現力」を測ることを目標にしているらしいです。お題目は最もなことを言っている気がしますが、改革の結果旧センター試験と比べて分量が激増し、膨大な文章を処理しながらいかに習った公式や知識に素早く落とし込むことが出来るかが問われるようになりました。

 「思考力」「判断力」「表現力」がどうなのかは知りませんが、少なくとも社会人的な要領の良さが求められていますので、そういう人間の選抜には使えそうです。ですが、そもそもそれって高校生全員に求めるものなのだろうか……?という気はします。センター試験のように高校の勉強を頑張った生徒が得をするのがあるべき姿ではないですかね?

 ところでこの共通テストって、よく「地頭ゲー」と言われていますが、果たしてどうなんでしょう。そもそも「地頭」とはなにかもよくわからないですが、ここまで非難轟々だと少なくとも生徒ごとに向き不向きがあるのは間違いなさそうです。

 巷では、極端なまでの情報処理能力偏重のテストになってしまっていると言われます。「思考力」「判断力」「表現力」なんて立派なお題目を掲げていますが、どんなに(そういう能力をペーパーテストで多角的に測れると信じている人に対して)好意的に解釈してもそういう能力は一朝一夕の努力では身につきません。中学受験を経験して処理能力を鍛え抜いていたり、先天的に判断能力が極めて高かったりする生徒であれば共通テストをあまり苦にしていない一方で、高校で勉強に目覚めてそこからコツコツと努力していたりしても、素養が標準的な生徒は大抵苦労するという話です。高校では進学校に行けなかったけども早いうちから受験勉強を頑張って、「共テレベル」と言われる参考書はバッチリ、センターであれば過去問もとれる、だけど共通テストになるとまったく時間が足りないという状況は僕も何度も目にしてきました。さらにじゃあインプットが減るのかと言えばもちろんそうではなく、2025年度から「情報」がほぼ国立では必須化されますね。

 なんにしても「やればできる」「始めるのに遅いということはない」という幻想を叩き潰し、高校生のうちから一般大衆の愚民どもに社会の仕組みを叩き込もうという強い意志を文部科学省からひしひしと感じますね。そうじゃなければただの官僚や自称有識者の思いつきでしょう。いずれにせよ、ろくなもんじゃありません。

 そういう感じですから、現状国公立ですら徐々に共通テストからの離脱が進んでいます。ペーパーテスト不要の総合選抜型が地方国公立を中心に激増していますね。これはやむを得ないでしょう。いままでは「それなりにまじめに勉強している」という事さえあればそこそこの地方国公立には入れましたが、6教科8科目、しかも異常な情報処理能力を求められる試験なんてもはや対応不能です。

 とは言え、それでも大多数のケースではまだまだ国立受験のためには共通テストが必須だし、避けては通れない生徒がほとんどでしょう。非常に厄介ですが、自称有識者が自分の誤りを認めるまで、我々はしばらく共通テストと向き合っていかなければなりません。これは本当に噂通りの地頭ゲーなのでしょうか。今回は僕が最近ハマっているmbti分析から、各タイプごとの向き不向きが存在するのかを探ってみたいと思います。

 めちゃくちゃ有名ですが、mbti診断テストの簡易版を以下に提示しておきます(こんなもん正確じゃない!とMBTI協会がキレてるらしいので注意、あくまでエンタメとして捉えましょう)

 無料性格診断テスト | 16Personalities

 ちなみに僕はENTPです。

 

mbtiにおける人間の情報の集め方①:情報受容機能

 どうせ見に来る人はいないとは思いますが、まず心理機能について一応簡単に説明しておきます。

 mbtiでは人間が情報を受け入れるとき、その方法が「感覚」と「直観」の2パターンに分類され、それぞれ「内向的」「外向的」に分岐します。

1.感覚(Sensation)……現実的な情報を重視する。全人口の75%を占める。

⇒内向的感覚(Si : Introverted Sensing)……現実的として確実に存在する概念や内面の感覚を信頼する。

ex:ノートの提出期限を守る、習慣を作る、ルールを守る、言われたことを覚えている、自分の体調の変化に気付く

⇒外向的感覚(Se : Extraverted Sensing)……身体の外にある情報を五感で感じて現実に生かす

ex:考えるより手を動かしてみる、目で見える風景に感動する、微妙な感覚を調整してスポーツで結果を残すなど

2.直観(iNtuition)……目に見える以上、もしくは未知の法則性や可能性を掴み取ろうとする。全人口の25%を占める。

⇒内向的直観(Ni : Introverted iNtuition)……集めた情報から未来の可能性を収束させる

ex:あるべき未来像から自分が履行すべき計画を逆算して実行する、直接的な証拠はなくとも状況証拠を総合して1つの確信を持つ、その確信に反する事柄は受け入れない

⇒外向的直観(Ne : Extraverted iNtuition)……外部の環境から新たな可能性をひらめく

ex:手がかりから可能性を考えるだけ考える、計画を立ててもより効率的な施策はないか常に模索する、仮説は立てても確信は持たず常により良い可能性に対してオープンである

 以上、情報の受容機能についてまとめました。とくに内向的直観は分かりづらいと思いますが、内向的外向的までいくとややこしいので、とにかく目に見えるものを信じる(感覚:S)タイプとそうでないタイプ(直観:N)に分かれるという風に考えておけば大丈夫です。

 

mbtiにおける人間の情報の集め方②:情報判断機能

 さて、上記の通り集めた情報を人間は、「感情」または「思考」という軸を基にその情報の価値をジャッジします。こちらもそれぞれ「内向的」「外向的」に分岐します。

 1.感情(Feeling)……必ずしも合理性のみを追求しない。場の雰囲気や自分の世界観を優先させる事もある。ギャーギャー騒ぐ人を「あの人は感情的だ」と言ったりしますが、ここでいう感情はちょっとそれと違います。

⇒内向的感情(Fi : Introverted Feeling)……自分の世界観やモラルに適合するか否かが判断基準。他者の感情も1個の独立したものと捉える

ex:理屈よりも自分のモラルや世界観に沿って行動を決める、他人の気持ちも自分の感情と同じように尊重する、どんな人の気持ちも平等に慮る、「よそはよそ、うちはうち」(=相容れない人とはかかわらない)、だから優しく見えて頑固

⇒外向的感情(Fe : Extraverted Feeling)……「みんな」の気持ちを大事にし、自分の感情を「みんな」とシンクロさせる

ex:みんなが楽しいから楽しいと思う、気が利く、他人に喜んでもらいたい、露骨に輪を乱す人の事を快く思わない

 2.思考(Thinking)……論理的に物事を考える

⇒内向的思考(Ti : Introverted Thinking)……外界とは無関係に自分の中で矛盾を起こさないよう論理的に情報を整理する

ex:意味がないと感じるルールや習慣を破る、権威を疑う、差別意識や偏見を持たない、非現実的だったり不謹慎な話でも筋が通っていればオッケー

⇒外向的思考(Te : Extraverted Thinking)……目に見える形で結果を残すための論理性を追求する

ex : 結果を出すために合理的に考えて周りの人やモノを利用する、責任感を持ってルールの枠内で最大の結果を生み出す、実用的じゃないアイデアを重視しない

 

 優先的なジャッジ機能が内面にあるのか、外面にあるのかでP/Jが分類されます。「Pが適当でJがしっかり者」だとよく言われますが、要するに外の世界を念頭に置きながら情報の価値を決めるのがJ、自分の世界だけでマイペースに情報の価値を決めるのがPですのでその俗説はおおむね当たっているでしょう。

 

疲れました…

このようにmbtiでは以上8つの機能から人間の認知機能は構成されると考えます。それぞれのタイプは上から4つの機能をピックアップしていきます。

さて、ここからが本番です。共通テストに合うmbtiタイプを考えていくうえで、上記から共通テスト対策に使えると思われる心理機能をピックアップしていきます。

 それぞれのタイプが持つ機能リストは以下のサイトを参照してください

 16タイプの性格分類まとめ Wiki* (wikiwiki.jp)

 

共通テストに強い機能1:外向的直観(Ne)

 よくADHD御用達だとバカにされる機能ですが、共通テストにおいて持っていて損はありません。

 共通テストでは全部の文章を馬鹿正直に整理していくと確実に時間が足りません。とにかく行間を読むことや、文章を読みながら書いてあること以上の道筋を探っていくことが求められます。日頃から外向的直観を使いこなしている人であれば圧倒的に有利です。

 元々特に文系科目には有利であったのですが、共通テストになってからは理数科目でもNeありきの設問になっているように感じます。とにかく「こう書いているんだからこう言える可能性がある」「こういう具体例が来たら皆が習ってきた公式もこう応用できる」のオンパレードです。

 ここまで散々共通テストを馬鹿にしてきましたが、私自身ENTPでNeが強く、共通テストの問題や予想問題集を見ていて、確かに難しいのですが「こんなもん全部読む前に分からんか?」と思ってしまうこともよくあります。

 生徒に思考過程を説明する時は、みんな「なるほど~」とは言ってくれますが、僕の説明を本番で再現できそうな生徒とそうでない生徒にはっきり分かれます。

 Ne劣勢の生徒は説明中も「そんなの出来るわけないだろ」という感じです。そういった生徒には別の道を示してあげないといけないのですが、どう見ても共通テスト自体がNeを「思考力」だと捉えてしまっている以上難しいところです。

 Neをメイン機能に持つ人は発想力と引き換えに集中力や継続力を失う傾向にあり、とくに内申点が絶大な力を持つ高校受験では不利な立場に立たされることが多いですが、そういう意味では共通テストによって「逆転合格」が起こりやすくなっていると思われます。

 

 共通テストに強い機能その2:内向的思考(Ti)

 先入観を排除することも共通テストを乗り切る上で非常に大事です。共通テストは引っかけ問題だらけだとよく言われますが、書いてあることから違和感のある文章にフォーカスし、その違和感を解明することで意外と簡単に解けてしまいます。引っかからないように必要以上に警戒する必要はないのです。

 Tiの力を借りて自分の頭の中の違和感に気付ければ難なく「この選択肢はおかしいから消そう」と正解へ前進することが出来るのです。

 また、共通テストでは現実に即した具体例から設問が作られるものの、所詮は常に架空のものです(英数に顕著)。そういう意味でも、TeではなくTiが求められます。とにかく、現実と切り離された空間で矛盾のない選択肢を選ぶことが大事なのです。

 

 ……以上です!どうですか?大学入試センターはこの2つを「思考力」「判断力」「表現力」と定義して問題を作成していると私は考えています。他の機能をこの2つに含めなかった理由は以下の通りです

 内向的感覚(Si)は正しく問題を読み取るには有用かもしれないけどこれを活用しているととにかく時間が足りない、その点ではむしろSiに依存して今まで「うまくいってきた」人を落とそうとすら考えているのではないか

 外向的感覚(Se)は図や絵が多用される共通テストを解く上で多少は有利に働くだろうが、取り立てて言うほどではない

 内向的直観(Ni)はよほど対策をやりこまなければ下手に確信を持たされて思い込みでことごとく引っかけられる

 内向的感情及び外向的感情(Fi,Fe)も思い込みで引っかけられる原因になる

 

……書いててげんなりしてきました。ENTPである僕は外向的直観(Ne)と内向的思考(Ti)をよく使うので幸い共通テストは苦労しません。しかし、世の中そうでない人が大多数なのです。そういう人に共通テストで好成績を残させようとするのは至難の業です。だって大学入試センターがNeとTiばっかり優遇してるんだもの。

 そしてどの機能を使うから頭がいいとか、人として優れているということも存在しないことは言うまでもありません。得意不得意こそあれ、どの心理機能もイノベーティブな人材には必要な要素だと思います。頑張ればだれでもしっかり出来るようになる旧センター試験の形に戻して、そういう個性の発掘は各大学の二次試験に委ねるべきではないでしょうか?

 

結局共通テスト向きの人材は誰なの?

 以下ランキング形式で発表します。断っておきますが僕の浅い知識や経験から導き出したものなのであまり真に受けないでください。

めっちゃ向いてる:ENTP、INTP

優勢機能にNeおよびTiを持つこの2人は間違いなく高得点が狙えると思います。旺盛すぎる好奇心からかき集めた情報をベースに設問を読んで10の可能性を思い描いて、余計な選択肢をTiで排除していく。もともとこういった回答方法に慣れすぎて「時間はめちゃくちゃ余るけどケアレスミス連発で85点だった……」こういうことばっかりで高校時代まではミスなく100点をかっさらっていくSJ型に苦汁を舐めさせられる人生だったでしょう。

 点数で見れば共通テストでも大体同じ結末になると思いますが、共通テストであれば85点取れば大金星です。特に形式に苦労することなく高得点が狙えるでしょう。もちろんそれなりに努力を積んでいればの話ですが(彼らはそれが苦手)。

 

まあまあ向いてる:ISTP、ESTP、ENFP

 Tiを優勢機能に持つISTPおよびESTPは、元々の処理能力のスペック次第では、先入観に左右されず、つまり引っかけ問題に惑わされず高得点を残すでしょう。先走らず書いてあることをしっかりと把握できるSeも強みになり得ます。Seは目先の情報に左右されがちでだと言われますが、目に見える情報をありのままに取り込むことで、Tiと組み合わせると当意即妙な判断が出来るようになります。ISTP/ESTPは不良に多いと言われますが、優秀なヤンキーは機転が利いて実社会で成功したりしていますよね。憎たらしいですがまさに即興的な思考力が求められる共通テストでもそんな感じで乗り越えられるかもしれません。

 また、ENFPもNe優勢なので可能性を増幅させることで引っかけに惑わされずうまくいく可能性があります。機能リストの3番目にTeがあるので結果を残すためにそれで頑張って共通テスト対策をこなしていれば勝機は充分にあるでしょう。

 

スペック次第:INFP、INFJ、INTJ、ENTJ、ENFJ

 INFPはNeを第二機能に持つので、しっかりハマれば充分に結果を残せる可能性はあります。しかし、Teが劣勢機能であるので、演習時点から点を取ることを意識できなければ難しいかもしれません。

 それ以外のタイプはNiがどう転ぶかが大事です。確信をもって先読みしながら問題を解いていくの良いですが、Neと違って可能性を収束させながら進めていくので、それが全て思い込みになってしまう可能性があります。

 特にINTJおよびENTJは第二機能までにTeを持つので、本番までに対策を充分に積んでくれているかもしれないということを考えれば他のタイプをリードできるかもしれません。もともと論理的な思考と言う点では文句ないですが、こと共通テストにおいてはやや不安定なのをよく見ます。

やや苦手:ISTJ、ESTJ

 書いてあることからの推論を求める共通テストでは、NかつTでないタイプは苦戦する可能性があります。特にISTJとESTJはもともとSiをフル活用することでルールを守り、課題をこなし、成績優秀でやってこれた可能性が高いですが、共通テストでは全部まじめに対処していくと時間的な余裕はゼロです。

 今まで通りに結果が出ないことに戸惑うかもしれません。そういう場合はTeを働かせてNeユーザーの挙動を真似しつつ必勝パターンを死ぬ気で考えましょう。相手はみなさんが嫌うNeとTi至上主義者です。とりあえずやれと言われたことを一生懸命やるという今までのパターンでは決して思い通りにはなりません。

 

苦手:ISFJ、ESFJ、ISFP、ESFP

 厳しい戦いになると思われます。このグループで言えばSiを優勢機能に持つISFJとESFJに第三機能にTeを持つESFPが食らいついていく展開になりそうです。どちらにも言えることではありますが、とにかく対策あるのみです。「思考力」「判断力」という訳の分からないお題目は無視して、どうすれば自分に合った方法で得点を最大化できるか必死に考えましょう。

 ISFPはもしかしたら一番厳しい戦いになるかもしれません。Seで書いてあることに敏感になることで、点数をかき集める手段が有効かもしれません。

 もちろん、これらのタイプの人たち=共通テストでは点が取れないわけではありません。最初に述べた通り、中学受験経験者など昔から情報処理能力を鍛えてきた人や、元々の素質として大学入試センターが求める「思考力」「判断力」「表現力」なるものが突出しているのであれば何の問題もなく高得点を取れるでしょう。問題は、そもそもそういう能力は一朝一夕で鍛えるものではないという事なのです。逆に言えば、早め早めからの対策を心がければ問題ありません。

 

総観

 いかがでしょうか?心理機能で言えばNeやTiを持つ人間が共通テストでは極めて優位な立場であるという結論になりました。よく言えば頭の回転が速くアドリブが利くタイプだと言えますが、逆に言えば飽きっぽくだらしない、地に足がついていないタイプでもあります。たまにいますよねそんな人。

 それが共通テストで測るべき「地頭」なのか?と言われると非常に疑問です。これは話が深くなりそうなので今度また考えます。

 何にせよ結局自分の努力次第であるのは間違いないですが、やはり共通テストにおいては生徒が持っている気質で得意や苦手がはっきり分かれてしまうかと思います。不利な立場に立たされる人にとっては腹の立つ話ではありますが、官僚や自称有識者が適当に決めた結果なので現時点では仕方ないとも言えます。

 持って生まれたものは変えようがないので、自分の特性を把握してより望んだ結果を掴めるように、日々頑張っていくしかありません。そして、大人の思い付きに振り回されて苦労した今の生徒たちが、将来自分の経験を活かしたルールを作る立場になってくれることを願います。