INTP/ENTP/INFP/ENFPへ Ne:外向的直観はADHDの元凶なのか?社会不適合予備軍が社会を生き抜くには

 また自分のENTP話です。ENFP、INTP、ENFPの方々ももしかしたら経験したことのあることかもしれません。上記のMBTIタイプの方々は、第二機能までにNe:外向的直観を有しています。それ自体は外の世界に目を向けて、目に見えない可能性を見出そうとする素晴らしい機能ですが、その引き換えとしてSi:内向的感覚を苦手な機能として持つこととなります。

 Siは、過去に受け取った感覚や概念(=経験)を心の中でしっかりと留め置き、それを基に自分の考え方や行動基準を形作っていくというものです。

 これ地味だけど社会人として必須の機能ですよね。Neユーザーは、Neにより鮮やかな発想力を獲得した一方でSiを犠牲にしています。例えば、ENTPであればメイン機能がNeである一方劣勢機能がSiです。このせいでこれまで結構苦労をしてきました。

 例えば、小学生のころ僕はとても頭の回転が速くまさに「末は博士か大臣か」という扱いを受けていましたが、中学生になって暗転します。ペーパーテストは相変わらずそれなりに優秀だったのですが、内申点が全く伸びません。授業中の姿勢が悪い、提出物は出さない、人を食ったような発言、全てにおいて教師の嫌うところでした。危機感を持って改善に取り組むのですが、生まれ持った性格なのでなかなかうまくいきません。都会でそれなりの経済力を持った家であればさっさと見切りをつけて私立受験に切り替えたのでしょうが、田舎で貧乏だったのでそうもいかず、中学生活を通じてその葛藤と戦うことになります。最終的にはNeとTiをフル活用してペーパーテストを頑張り志望校に滑り込めましたが、3年間かけて周りの評価が「本気を出せばすごい奴」から「言ってもどうせ響かない奴」に変わっていくのを身を持って体験しました。

 次に社会人になってからの話ですが、僕は昔経理の仕事をしていましたが、信じられないくらい資料作成でミスを繰り返してあり得ないくらい同僚から嫌われたことがあります。その結果問診ではありますが、ADHDの傾向が強いという診断を受けてストラテラを飲んだことがあります。コンサータをくださいと言ったのですが、あれは覚せい剤だから駄目だと言われました。

 3か月ほど飲んではみましたが健常者の感覚を味わうどころか副作用の眠気がすさまじく、交通事故を起こしかねなかったので止めました。頭の騒がしさが収まる感覚もなくはなかったのですが、副作用がすさまじかったのと「これじゃ頭が鈍くなっただけじゃないか」という気持ちから服用をやめてしまいました。その会社では三年ほど経理の仕事をしましたが、最後までまともな資料を作ることはなかったです。

 今振り返ってみると、完全にNeとの付き合い方が未熟だったと思います。提出物一つ出すだけでもいちいち他の数字との関連性を考えて、いつまでたっても仕事が終わりません。そんな自分を戒めて何も考えずマニュアル通り、他の人通り、前年通りにやろうとしても(=Siグリップ)、所詮劣勢機能なのでどこかで必ずミスをします。そして、そういう時に限って想定外の事象が発生していますが、Neを封じているので必ずと言っていいほど見落とします。

 このようにいろいろありましたが、他の会社へ転職してから今までそれなりに「仕事が出来る方」で通っています。陰でどう言われているかはわかりませんが、それなりに尊重されるようにはなったし、少なくとも他人から面と向かってバカにされることはなくなったどころか気を遣われることが増えたので、そこそこ評価されるようになったんだと思います。その後も経理の仕事をしたことはありますが、ストラテラは飲んでないのでNeっぽいミスはそこでもしていました。ただそれでもそこを退職する際も引き止められました。それなりに戦力だと認めてくれたのでしょう。

 自分の性格や特性は変わっていないはずなのにそれ以外にいったい何が変わったのでしょう?そもそも僕はADHDだったのでしょうか?所詮塾講師のクセに偉そうな話ですが、それでもクズ扱いされていた新卒数年目のころと比べると雲泥の差で、実力で年収をアップさせてきたことを考えると上手く巻き返せたものだと自分をほめてあげたい気持ちではあります(それでも大学の同期上位層と比べると眩暈がしますが)。

 他にもNe優勢のために今まさに社会に対して生きづらさを感じている人もいるはずなので、自分の内省の言語化過程として振り返っていく過程をここに綴ることで、こんな誰も読んでいないブログにたどり着いた誰か一人のためにでもなればいいと思います。

 Neは間違いなくADHDと関連がある

 悩んでいる人にとっては元も子もない話ですが、Ne優勢の人は大なり小なりADHDの要素を持っていると考えて間違いないです。INTP、ENTP、INFP、ENFPの方々で特に生きづらさを感じている人は、まずそれを受け入れたうえで今後の戦略を考えるべきだと考えています。

 Neが機能する時、人は否が応でもあらゆる可能性をフラットに考えます。社会では必ずしも正しいとは言えないことを正しいと決め打ちして考える必要がありますが、Neがある人はいちいちそこに引っ掛かります。「そもそもこれは本当に本質をとらえているのだろうか?」「もっといいやり方があるのではないだろうか?」こう考えてしまう事がまさにADHD的です。小学生のころに担任の話を全く聞いておらず呆れられたこと、中学生のころにもらったプリントをファイルに律義に綴ることをせず内申点を下げられたこと、高校生の頃過剰に不敵な発言で周りからすこし引かれた事、大学生のころに奇抜な発言をして教授に面白がられたこと、それでもそういう逆境を上手く切り抜けてきたこと、それらの経験全てが社会人になってからは足かせとなります。それまでは持ち前の機転と対応力でなんとかしたかもしれませんが、社会人になってからはその土俵にも立たせてくれません。そこで初めて「言われたことを言われたとおりにする」という行為の偉大さを思い知るのです。

 ADHDの定義は文部科学省によると「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害」であり、特に前文はまさにNe優勢の特徴に当てはまります。「注意力が足りない」と言えば簡単ですが、もっと言えば現実世界の挙動そのものには関心がない、つまりS型でないということです。それでも、NJであればジャッジ機能は外界に向いていますから妄想で考えていることをそれなりに現実に基づいて整理します。しかしNPはそのジャッジ機能を内面化していますから、思考が完全に宙に浮くことになります。

 つまりNeにより頭の中で広がったイメージを頭の中で整理することに終始するので、外から見れば常軌を逸した結論に至ることも少なくないです。そもそもその構想は初っ端から現実離れしていたりあまりにも不謹慎だったりするので、理解しようとしてくれる人も少なく、大抵「そんなこと考える前に期限守れば」「つべこべ言わず机片づけることから始めたら」「そんなことより前送ったメッセージちゃんと見た?」こう言われておしまいです。(期限に関しては今思えばその通りなのですが……)

 自分の素晴らしい発想が相手にされないことからさらに強烈なイメージを表出することによって形勢を逆転しようと試みますが、充分に環境がサポートしてくれない知覚機能Ne優勢の場合はこうしてそれも見事に不発に終わります、そうして彼らは晴れて自らの注意力不足を恥じるようになり、SiやTeを活用することにより打開を図るのですが、所詮下手くそな劣勢機能であり、周りが簡単にこなすことでも大いに苦労します。そうこうしているうちに自分の本来の強みすら失い、周りからでくの坊として知られるようになるのです。

 でもあなたの洞察が正しいとみんなうっすら気付いています!

 今回の伝えたい点はここに集約されます。

 現時点ではあなたの洞察は鼻で笑われているかもしれませんが、言うほど間違ってはいないことにみんな少し気付いています。ただ、それがあまりにも急進的だったりする場合、それを素直に受け取れる人はこの世にあまりいないのです。

 あなたが「無神経な伝え方」をすればするほど周りは抵抗しますし、あなたのような危険人物に付け入るスキがある場合は存分にそこをついてきます。おかしな奴として片付けてしまえば、それ以上あなたの"妄想"に付き合う必要はなくなるのです。

 周りが自分の話を聞いてくれないという悩みがあるのであれば、この点を少し修正する必要があります。

Ne持ちが周りに話を聞いてもらうには

 N型は「今目に見えない世界」を志向し、S型は「今まさに存在する世界」を志向する傾向にあると言われていますが、それでもどのタイプも、アプローチこそ違えど今この世に現存する以上の物事を思い描いているはずです。ただ、その世界にたどり着くまでの過程が大切です。

 ある程度社会に適応している人は、現実に即して物事を考えますし、「こうかもしれない」という現実から100%の確度で推論できない発想を嫌いすらします。ここは逆に理屈じゃないです。世の中の大多数の人間は現実離れした話を面白がりませんし、相手にしないわけでもなく、嫌います。「こいつの言っていることが本当か考えてみよう」という風にはならないのです。多少真実味のある話だとしても、論理が飛躍していると聞く耳を持つ人はいません。

 こういう人たちに話を聞いてもらうためには、自分が現実に生きているということを他人にも知ってもらう必要があります。

 「昨日こういう奴がいてムカついた」「週末ここに行って楽しかった」「先輩がこんな話をしていた」

 現実に存在した事柄をベースに周りに話す心がけを持つとよいと思います。その上であればNe特有の斜め上発想も受け入れてもらいやすくなりますし、逆に面白がられるようになります。ベースが現実に即した話なので、周りにも想像がつきやすくなります。これを続けると、周りも「あいつの話はとりあえず最後まで聞いてみよう」という空気になってくるのです。

 僕は20代後半にこれに気付いて積極的に取り組んできました。そうすると、不思議なくらい周りが話を聞いてくれるようになるのです。Neっぽい突飛な発想だったとしても、話の入りを現実に即した内容にして、具体的な描写を含めれば同じオチでも周りは笑ってくれるようになります。Ne持ちで社会に対して苦手意識を持っている人は、こういったことを意識すると上手く世界が回り出すかもしれません。

まとめ

 ほぼ自分語りになりましたが、社会への適合に苦しんでいるのであればぜひ気を付けてみてほしいです。なんか「自分は想像力が優れていて周りが劣っている」というような書きぶりになってしまいましたが、そういう意図はありません。Ne持ちは少し気を抜くと本当に訳の分からない話をしてしまうのです。僕もこの仕事をしていて、Ne持ちの生徒が話しているのを聞きながら「うるせえ黙って勉強しろ」と思ったことはこれまで一度や二度ではありません。

 そういう厄介な性格に生まれてきてしまった以上、社会に適合するためにはそれなりの努力が必要です。Neの良さが生きてくるのはあくまで地に足をつけて考えることを学んでからだと思います。これを読んだ人でどこが迎合したような記事でがっかりした人もいるかもしれませんが、あなたの真価はそこから発揮されます。相手の手のひらで踊りながら発想力で世界をかき回すのがNe持ちの本領だと思うのです。それだけの洞察力とチャレンジ精神を持っていることに誇りを持ちながら生きていきましょう。