MBTIにハマったENTPの塾講師という謎の存在

 私の話をします。

 私は一昨年から塾講師を始めています。まだキャリアとしては浅いですが、今までの職場の中で最も合っているように感じます。

 これまではいわゆる普通のサラリーマンで、劣勢Siにコンプレックスを持ちながら暮らしてきました。机の上は常に書類であふれてるし、提出期限も平気で忘れる。当時はまだFeが未発達で上司や先輩の前で余計なことを言ってよくドン引きされていました。

 常時Siグリップを起こしているような状況で、仕事は遅いわ飲み会では誰からも相手にされないわで新卒の時はそれはそれは肩身が狭かったものです。それでも20代後半からは転職を繰り返しつつNeとTiの実社会での使い方にコツを掴み、時には伸びだしたFeを使って職場では比較的愛される存在になっていたと思います。

 色々あって30代になってからもともと興味のあった塾講師に転身しましたが、今まで経験したどの職場よりも気楽です。Neにより生徒一人ひとりを心から応援できる一方、Tiでその生徒の伸びしろを冷静に計算しています。Ne-Tiにより大量の情報を取捨選択した上でのFeを活用したモチベーターとしての能力は日頃自分でも感心しています。これほど本質的に塾講師に向いたMBTIタイプは存在しないかもしれないなと感じています。まあそこはシンプルに自分の能力だと言い切ってもいいかもしれませんが。

 元来人から褒められたい、頼りにされたい気持ちは強いですから、給料は変わらないのにほぼ毎日出勤しています。ストレスは感じていないつもりですが髪の毛は抜け出しているので体はやばいかもしれません笑 さすが劣勢Si

 そんなこんなあって1年半やって思うことは、私の喋りは直観型(N型)にはめっぽう強いですが、感覚型(S型)には全く刺さらないということです。

 そもそも私がMBTIにハマったのは、N型とS型という区分があまりにも腑に落ちたことから始まります。「なんでみんなはこんな仕事を淡々とこなせるんだろう」という感想、自分に都合のいいように言い換えると「なんでみんなはこんなに想像力がないんだろう」という気持ちをずっと抱えて生きてきました。これを説明してくれたのがMBTIだったのです。MBTIに興味を持つのはN型が多いと言いますが、その理由がとてもよくわかります。

 元々アカデミックな心理分析では相手にされていない理論で、実際詳しく調べていくと怪しいと思えるような理論もありますが、NとSの区分があまりにもしっくり来すぎました。Tiが働くのか「ああ、こうやって高学歴の人間がカルトにはまっていくんだろうな」と自分を客観視しながらも、初めて納得いく形で自分の性格を認識することが出来ました。冷静に考えるとオウムにハマった連中と思考の流れはそう変わらないかもしれません。それでも、「自分はENTPだけど~」という書き込みを見るたびに自分と似たような性格を持つ人間がそれなりにいるということを知って救われました。ネット上でのENTPのステレオタイプには「それはENFPじゃないか……?」と思うことが少なからずありますが、その話はまた今度したいと思います。

 リアルに社会人として出会うことは比較的少ないですが、ネットを見る限りN型は多かれ少なかれ疎外感を感じているような気がします。普通の人より想像力に長けていることによる不便は常に感じながらも、そういう「選ばれし者故の不便」を感じることに少しだけ優越感を感じている。界隈に行くとそんな人が多いように感じます

 ただ、相談に来た生徒にはあからさまなN型がそれなりにいます。おそらく、社会を経験したことがないとN丸出しで来てくれるからわかりやすいのかもしれません。

 感覚的には、N型とS型の比率は1:3です。実際N型は全人口の25%以下という話もありますから、そんなものかと思います。私のNe全開のトークをN型は「この人は自分の事を良く知ろうとしてくれている」という感じで聞いてくれるし、S型は「何か変わったことを言っている」という感じで聞いています。S型についてはSTPだと「何を言っているのかよくわからないが何となく面白そうだ」と感じてくれることも多いですが、SFやSTJだとそうはいきません。下手すると「こいつはうさんくさい」という目を向けてきますのでもっと上手に使い分けできるようになるべきですが、こればかりは気質なのでいくら内省しようが直しようがありません。

 それでもSTJだとTが共鳴して「変な奴だけど話の筋は通っている」と感じてくれた人はそれなりに入ってくれますが、SFっぽい人の入塾率は本当に悪いです。話している時の感触が悪いわけではないですが、家に帰ってゆっくり考えた結果、「あいつは信用ならない」となるのだと思います。

 世の中ではS型、もっと言えばSF型が多数派ですから、営業職としては市場に沿った戦略を取れていないということで良くない状況かもしれません。その上こういう出会いが積み重なり、世間では「あの塾では変な奴が講師をやっている」ということになっているかもしれません。実際に言われたわけではありませんが、実際に一緒に頑張っている子がN型だらけの現状を踏まえるとたぶんそういうことだろうと思います。だらけはさすがに言いすぎましたが、ほぼ半数くらいはN型なので実社会よりかなり多いです。

そう考えると長いことできる仕事ではないかなとは思いますが、それでもN型であればほぼ百発百中で営業成績自体は非常に好調だし、何より疎外感を感じてきた同志たちに少なからず影響を与えられる仕事と捉えてとてもありがたく日々を過ごさせてもらっています。