ENTP説明書:ステレオタイプの正しい点・誤っている点

 今日は自分の話です。MBTIに出会うまで自分の事を「変な性格」としか認識していなかったのですが、自分のタイプを知るようになってから意識的にこれまでの人生を振り返ったりするようになりました。

 自分は典型的なENTPだと認識しています。日常の行動的にはINTPに近いしネット上の診断を行うとほとんどINTPと出るのですが、幼いころの振る舞いやいざという時の異常な行動力など、人生における大事な点にフォーカスするとENTPの性格が面白いほど当てはまります。wikiにある説明なんか一語一句自分の説明をしているのではないかと勘違いするほど、自認としてはそのまんまです。

ENTPの特徴 - 16タイプの性格分類まとめ Wiki* (wikiwiki.jp)

 そんな中で、インターネット上ではMBTI診断がメジャーになるにつれて16タイプに対するステレオタイプが蔓延するようになりました。僕としては、自分の「変な性格」が一般的に認知されることに喜びを感じる一方で、必ずしもそうとは言えない部分もあるので、自分の性格と比較しながら改めて検証してみたいと思います。ほとんど誰も見ていないと思いますが、自分のもやもやをアウトプットしておくことで内省につなげていければいいのかなと思っています。

 ただ、ENTPは一応3%ほど世の中にいるらしいので、これまで出会っていてもおかしくないのですが、僕は自分と心の底から似たような性格の人だと思える人に会ったことがありません。ネット上のENTPを見ても少し違う気がすることも多いです。そのためMBTIに関係なく僕自身がただ単に変な性格である可能性は否めませんから、そこはご容赦ください。

 

ステレオタイプ1:とにかく議論を吹っ掛ける

 基本的には正しいと思います。大人になってからはぐっと飲みこむ癖がつきましたが、基本的に誰かが何かを言っていると「でもそれなら~なんじゃない?」という言葉が反射的に浮かんできます。

 ほぼ衝動のようなものですが、奥底の気持ちとしては相手の弱みを指摘してあげることで感謝してくれるという打算のもとにやっています。その時は嫌な顔をされてもしっかり議論をすることが出来れば後々感謝してくれるのではないかと思っています。明らかな矛盾に気付いたら「指摘してあげないと本人に対して失礼だ」とすら思っています。

 論戦を吹っ掛けるときは、気持ち的には犬のプレイバウのようなものです。「遊ぼう!!」と言っているつもりなのですが、言葉は辛らつになります。

 そのため現実には指摘したことに対して相手が感謝してくれることはなく、うんざりされることがほとんどです。20代中盤あたりでそのことに気付いて「よそはよそ、うちはうち」ということを肝に銘じるようになってから、ある程度人間関係が安定しだしました。

 とは言っても性根はそんなに簡単に直るものではないので、一度スイッチが入ると相手がうんざりするまでごちゃごちゃ言い続けますから、本来緊密な人間関係を築くべき相手であるほど信頼されるまで時間がかかります。「スイッチが入る」というのは我ながらうまい例えだと思いますが、その瞬間いかに短い言葉で相手の心を刺すことが出来るかというゲームになります。その結果多少言葉が辛らつになったとしても相手の目を覚ますには仕方のないことだと考えます。

 自分でもなんて独善的な性格なんだろうと思います。僕はそれによって関係が壊れたままの人も大勢いますが、よほどうまくやる必要性を感じている相手でなければスイッチを戻すことはありません。対等に話をしたつもりなのになぜ相手が拗ねたらこっちが下手に出ないといけないのかと思ってしまいます。

 これはなにも論理性において僕が優れていると言いたいわけではなくて、フルパワーで論戦を挑んでしまうため相手がドン引きしてしまうのです。

 ただ、相手のご機嫌を取らなければならないと判断したらその後のリップサービスはすさまじいです。それがまた相手の怒りを買ってしまうこともあるのですが、「論戦の対象ではない」と認識した相手にはリップサービスの出し入れで相手の感情を測りながら、結局程よい距離感に収まります。が、一度本性を現してしまったのでその後相手から心から信頼されることはありません。

 ただ、誰彼構わず喧嘩を売るわけではありません。ENTPが吹っ掛けてくるときは基本的にあなたの弱点を直したい、これから関係を建設的に発展させたいと思ってある意味勝負をかけようとしているので、本当にそのENTPがあなたにとって必要な存在であれば論戦に付き合ってあげてください。表情はギラギラしていても、むやみにあなたのことをコテンパンにしてやろうとは思っていないはずです。そうでもないのであれば無視して大丈夫です。

 2.メンタルが強い

 これに関してもある程度は真実だと思います。他のタイプと比べて、自分の努力量と結果を客観的に比較することが出来ます。塾講師をしていてこれは弱みにもなり得るのかもしれませんが、高い目標を掲げても勉強がうまくいかなかった生徒を見ると「お前の努力量から見るにその結果はうまくやったとすら言えるんだから文句言うなよ」と思ってしまいます。これは内省の時にも当てはまるので、自分の頑張りが足りなかった結果上手くいかなかったのであればそこまで引きずることはありません。

 ただ逆に言えば、充分な努力量を確保した上で結果が出なかった、あるいは思ったほど他人から認めてもらえなかったときはちゃんと落ち込みます。ISTPやINTPほどマイペースではないので、その点では一概にメンタルが強いとは言えない点があると思います。大抵の攻撃は無効化するけど、HP自体はそんなに高くないのでちゃんと通る攻撃をされたらちゃんと食らうようなイメージです。

 3.何事に対しても思い立ったらすぐ行動

 これについてはどうかな?と思います。ENTPの行動力の原動力はあくまでも偏見や前提条件を一切排除した将来の可能性です。Neにより可能性はいくらでも浮かびますが、その選択肢はあり得ない仮定に基づいていたり、あまりにも広い視野に立っていることも多いので、いざ行動を起こす段に至るとTiにより割と冷静にその可能性を見直します。なので、選択肢が思い浮かんだとしても考えるだけ考えて「面倒だからやめた」となる割合は非常に高いです。本当にすぐ行動に移してしまうのは他の感覚型、もっと言えばESTPでしょう。

 人間関係においても議論を吹っ掛ける癖があるのは先ほど述べましたが、それは「今矛盾を感じたから」というよりも「この人と今後付き合っていくにあたってこの矛盾をスルーしてもいいのか?」「この人は議論して分かってくれるのだろうか?」ということも一応考えています。ですから表面的には言うほど衝動的ではないと思います。なので、ことごとく周りと価値観が違う環境にいる場合は、防衛本能から逆に寡黙で自分の考えがない人だとすら思われるかもしれません。内面で周りへの反抗心を増幅させ、それを支える理論をwikipediaで読み漁りますが、外面には表しません。

 社交についても一概にうまいとは限りません。猫をかぶってもNe-Ti全開で人を食ったような言葉がどこかで出ますから、大抵の人にはドン引きされてしまいます。これが繰り返されると、そもそも話しかける前に諦めてしまうことも多くあります。基本的に人に良く思われたいので、眉をひそめられている事に気付くと慎重になるのです。

 それでも、そういった時でも自分の発想の鮮やかさを示して状況をひっくり返すタイミングは虎視眈々と狙っています。

 4.口がうまい、相手を沼らせる

 人によりますが、論理的にリップサービスを成立させることはうまいです。日頃理屈っぽくノンデリだと人から思われているのを逆手にとって、ノンデリワードを口にするいつもと同じ表情とともに相手を励ますことで本心から言っている風を演出します。

 感情的な訴えは本来苦手ですが、これまでの人生経験から「こういう言葉選びをすれば相手の心を動かせるかもしれない」という直観が浮かんできます。それがくさい言葉だったとしても、矛盾しないのであれば躊躇なく口にできます。相手の自己肯定感を呼び起こす言動にかけては天才的でしょう。

 恋愛だとどんなにかっこいいことを言っても劣等Siにより結局ぼろが出るので相手を沼らせるにはもう一つ、二つ努力が必要ですが、ある程度仕事が出来るのであれば「尊敬される先輩」になるのはたやすいと思います。仕事ができないとしても相手の懐に入り込むのは得意なので、コツさえつかめば愛されキャラにはなれるでしょう。特に相手がN型であればその口の上手さは絶大な効果を発揮すると思います。

 ただ相手がS型の場合は、持ち前のNeが無責任だと捉えられることも多く「よくわからんけどこいつは信用ならない」と思われがちなので気を付けたほうがいいです。

 ENTPは外向型の中でも比較的一人の時間を必要とすると言われているので、陰キャENTPも世の中に多く存在しますが、そういう奴でも面接やここぞの対人関係においては無類の強さを発揮します。それで入社後人事にがっかりされるのです。僕もそうです笑

 5.身の回りの世話ができない、ルールが守れない

 これはそうかもしれません。常に頭の中でNeが暴発していますから、身の回りが多少汚くてもなんとも思いません。どんなに部屋が汚いとしても、まず起きてからすることは夢の中で思いついたアイデアの検索です。そこで得られた知見をさらにウィキペディアなどで調べて、そこから関係ないページに飛んで……寝る前に食べたマクドナルドの袋をゴミ箱に入れるのはタスクの最後です。

 僕は大学で親元を離れましたが、大学1年生のころに心配になって訪ねてきた親に部屋の惨状を見て泣かれたことがあります。その頃は「生活できてるからいいだろ」と思っていましたが、今思い返すと身の毛のよだつ状況だったと思います。

 今ではSiも多少発達してある程度気にするようになりましたが、少し気を抜くと酒の缶や脱ぎ散らかした洋服が散乱します。

 仕事においてもこういわれたからとか、こういうルールがあるからと言うことを気にすることはありません。正確に言えば、気にはします。ただ、実行段階になると面倒になって無視しますし、その結果数字が上向けばそれでいいと考えます。

 思った通りの結果が出たとして、仕事ぶりをほめられる前に「とりあえずルールを守れ」と言われると反発します。ですが、褒められた後にルールを守るよう指摘されるととりあえず受け入れます。16タイプの中でも屈指のアクの強さだと言われますが、意外とわかりやすい性格なのです。

 ルールを破った結果数字もイマイチだった場合、それはそれで反省してルールを守ることも考えだします。ただ、周りの理解が不十分だと意地でもルールを守ろうせずそれを上回る独自手法にこだわり出すので、わかりやすいと同時に面倒な性格タイプだと思います。ENTPの方々は絶対にお堅い企業に勤めないようにしましょう。これは私の人生を通じて最も大きな反省です。

 6.偏見がない、常識を嫌う

 決めつけを嫌うのはまんまその通りだと思います。「正しいから正しい」と言われてもまるで心に響いていません。逆に、世間的に「変だ」「おかしい」とされていることについても額面通り受け取らず、別の評価軸がないか探します。そういう点から少数派の気持ちに(図らずとも)寄り添ったりすることが出来るので、どんな相手とも腹を割った交流関係を持つことが出来ます。ただし、相手があまりにも本音を隠そうとしたり、世間体ばかり気にする振る舞いを繰り返していたりすると、ENTPの悪い病気が出るかもしれません。

 まとめ

 こうして振り返ってみると、結論としてやっぱりENTPのステレオタイプにはある程度適正しい面があるようです。社交の達人みたいに言われることには賛同できませんが、話が通じないかもしれないのが嫌なだけで初対面の人と話をするのが本当に嫌いと言うわけではありません。

 結局ベースにあるのは周りに自分の創造力を認めてほしい、尊敬してほしいという気持ちです。それならそれでINTJやENTJのように正攻法で栄光を掴み取ればいいのですが、それはNeとTiによってことごとく阻止されることになります。あくまでも自分の土俵で戦うことにこだわります。

 ENTPが自分を満たすには、自分の事を理解してくれる環境が絶対的に必要です。Neの奇天烈さを面白がってくれるような環境であることが第一であるように思います。

 16personalitiesでは「気配りができる、優しい人だと思われたいという気持ちがほとんどない」と言われていますが、自分の事を信頼している人たち、とくに自分の頭の回転や機転を信頼してくれている人たちに対してはいつも以上の力が出るものです。

“討論者”型の性格 (ENTP) | 16Personalities

 僕も「自分には人間の心がない」とずっと信じて生きてきましたが、落ち着いて振り返ってみると意外と人のために膨大な時間を割いたりしています。これが「自分が満たされたい」という利己的な動機から来るものなのかそれとも真に利他的な動機から来るものなのかはわかりませんが、いずれにせよ慕われたいという気持ちが強いのです。

 Feが暴走してかっこいいと思われたい、すごいと思われたいという一心で不十分な自己分析だけで重大な人生の選択をすると大きなミスマッチとなる可能性があります。ENTPの人たちは「この環境は果たしてどれだけ自分を必要としているのか」と考えて将来を決めていくと結構うまくいくと思います。うまくいくというか、そうでなければ何の力も発揮できないのです。これは上の16Personalitiesでも指摘されています。優しく書かれていますが、ストレートに言うと、協調性のない役立たずです。

 僕は大企業からドロップアウトしたのち紆余曲折あってようやく昔の同期たちの年収に追いつきましたがそれでもまだまだ道の途上です。カネの話をしている時点でまだまだだと感じます。さっさとこういうしがらみから抜けて真の安寧を勝ち取っていきたいですね。