youtuberで見るINTJの特徴

 この時期は塾講師をやっていてしんどい気持ちになります。

 センター試験時代ならまだしも、共通テストは毎年理不尽に失敗する生徒が多く存在します。ちゃらんぽらんな人間ならともかく、「あんなに頑張っていたのに失敗した」という生徒の話を聞くのは私にとっても大きな負担です。

 昨日も散々愚痴を書きましたが、努力が報われない様ほど見ていて辛いものはありません。

 まあこのいったん愚痴はここまでにします。今度いつにもまして長文のエントリーを書こうと思います。

 今回紹介するのは、もうすでに特定の界隈では有名人かもしれませんが、「Fラン大学就職チャンネル」です。

 登録者50万人に迫る有名なチャンネルですが、受験生の方や大学生の方、特に不本意にもFランク大学に入学してしまったにはぜひとも見てほしいです。このチャンネルのオーナーであるエフさん自身Fラン大学出身らしいですが、キャリアアドバイザーという本業を続けつつ高品質な動画を週2本上げるという常軌を逸した生活を数年こなしており、顔出しゼロのハンデを乗り越えて人気youtuber兼インフルエンサーにのし上がっています。オンラインサロンも主宰しているらしく、Fラン卒なのにさぞお金を稼いでいることだと思います。

 その角度のついたモノの見方と自動生成ボイスから繰り出される悪意と皮肉に満ちたワードセンスからENTPとも迷いましたが、本人のMBTIはたぶんINTJです。ENTPである僕と比較しながら、INTJの特徴を挙げていきます。

 1.努力のみがあなたの道を拓く!

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 どの動画を見ても、エフさん自身がFラン大学生から努力で今の地位を築き上げてきたという強烈な自負を感じます。これなんかは後味の悪い動画ですが、どこまで失敗しても努力次第で這い上がれる、大抵のディスアドバンテージはいずれ覆せる、努力して遅すぎるということはないというメッセージが込められています。大体すべての動画を合わせて要約すると大体以下のようなことを言っています。

 現実を直視して戦うことを選択した人間であれば、どんなに苦しくても時が来れば道は拓ける。そして、道を拓くための具体的な方法も常にあなたの手元に残されている。あとは本人次第なのです(まあそれが出来ないのがFラン大生なんですけどね)

 現実に、Fラン大卒でも大企業で出世して豊かな生活を送っている人間もいるし、中卒でも起業家や個人事業主として成功している人間もいます。学歴は人間の努力量を測る強力な物差しですが、逆に言えばものさしのうちの一つでしかなくて、社会は他の物差しもそれなりに用意してくれているものです。学力という物差しで勝負できない人間であれば、違う武器を身につけましょう。そして学力でも見劣りしない程度に頑張りましょう。正しい方向に努力すればいずれ勝機は見えてきます。少なくとも、「なりたくない自分」を回避することはできます(まあそれが出来ないのがFラン大生なんですけどね)

 童話や炎上ネタなど取り上げるネタは非常に多彩ですが、根底にあるのはいつもこういう信念で、例外はありません。

 ENTPであれば「才能も努力もないのに何となく運で上手く世を渡るFラン卒」の話を作りたくなったりもするでしょうが、エフさんの努力信仰はかなり強固で、そういった動画は皆無です。常に成功には何かしらの根拠があると強く確信しており、そういう意味で非常にINTJ的です。

 この確信の強さは本人がキャリアアドバイザーとしてFラン大生を支援してきた経験から来るものが大きいとは思いますが、やはり本人の根源的な特性から来る傾向も影響しているのではないかと思います。

 ENTPの私も塾の運営者として様々なタイプの生徒を見てきましたが、頑張れない生徒に対しては、どうしても「期待できる面はないか」とこちら側から探してしまう傾向があります。最近はようやく無気力な生徒に対して厳しく接することが出来るようになりました。

 

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 この動画もINTJ的です。同じスタートラインだったとしても、成功するものと失敗するものの間には必ず説明できる差が存在していると強く確信できないとこのようなプロットを書くことはできないでしょう。何事も結果はその過程に100%依存しているのです。

 ごくまれにセリフなしの動画がありますが、その方が描写が生々しくなったりもするので、そういう意味ではこの動画も私のお気に入りです。

 もちろんなんとなく上手くいったと言うケースも認識しているでしょうが、ようするに「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負け無し」です。ちなみにこの言葉で有名な野村克也もINTJです。

 

2.努力が出来ない人間の未来など簡単に予想できる

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 努力至上主義者のエフさんですから、努力が出来ない人のことを心の底からバカにしています。ただ「あいつは努力できないからダメだ」という単純な結論で片づけるのではなくて、こういう経緯で、こういう心の葛藤があって、こういう選択肢から逃げて、最終的にはこういう状況に陥って……想像力がとても豊かなINTJですから、努力のできない人間がどういう人生を歩んでいくのかがありありと目に浮かぶのでしょう。先ほどの「危機一髪」でもそうですが、努力のできない人間の末路まで想像が出来てしまうようです。

 ここで紹介する「茶番マン」は、後味の悪い動画が多いFラン大学就職チャンネルのなかでも屈指の救いのなさです。後味の悪さにかけてはダンサーインザダークも真っ青です。現実から逃げ続けた結果人生の後半に全てのつけが回ってきた主人公に対して「これまですべてのイベントが茶番ではなく本番だったし、君の本番はこれからも続く」と言い放てる人はなかなかいません。

 ENTPなら、そこまで発想は及ばないかもしれません。「状況が厳しければ誰だって現実と向き合ってなんとかするでしょ(だからそんな人は存在しないはず)」という発想になるのです。私もENTPとして想像力には自信があるのですが、こういう未来はなかなか想像できない、あるいはしたくないのかもしれません。

 現実に基づいて正確な分析を行い、蓋然性の高い未来を忖度なく表現することが出来るのはINTJならではでしょう。

3.感情に振り回される人を心の底から冷たい目で見ている

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 INTJも第三機能にFiを持つため、自分の感情にはそれなりに敏感です。ただ、基本的には感情に振り回されるも周りへの合理的な対応を優先します。Fiにより人一倍「好き嫌い」を持っているからこそ、それに振り回される人を軽蔑してしまうのかもしれません。

 この「キライちゃん」のように、自分の感情を周りにばらまいて自分から社会に対して距離を取ってしまうようでは、誰からも相手にされず、自分の能力を活かす機会すら失ってしまう。INTJは感情との付き合い方をよく理解しています。INTJに言わせれば「俺だって好きでやってんじゃねえんだよ」ってなものでしょう。

 「キライちゃん」の思考をよく理解できるからこそ、自分が社会で不利になると分かり切っていながらその表出をためらわない人を冷めた目で見てしまうのでしょう。そして、その救われない未来も想像できてしまうのでしょう。

 ENTPがキライちゃんのような人に出会ったら、「その気持ちわかるわ笑、俺も~」と負けじとブラックジョークを吐いて嫌われるでしょう。

 4.原因分析はどこまでもフェア

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 個人的にはこの動画がエフさんの最高傑作だと思います。

 INTJは自分にも他人にも厳しく、自分ほど努力できない他人に対して冷たいですが、その人が「なぜ自分ほど努力できないのか」という分析は可能な限り客観的な視点から行おうとします。

 この動画では、努力のできないFラン大生にはそういう性格が形成されるのは本人への責めに帰することが出来ない原因があるはずだという信念に基づいて構成されています。他人任せで他責思考を持つ両親と疲弊する教育現場、思い付きと理想論ばかりで全く現実を見ていない文部科学省とそれに振り回される教師たち……INTJの目はそういった彼らの罪を逃すことはありません。

 それでもINTJに言わせればそんなものは全て言い訳に過ぎないので、動画の構成はあくまでも生徒の主体性のなさや努力不足が主軸にはなっています。しかしここで大事なことは、「そもそも他人に振り回された結果努力が出来ない人間」という存在を明確に認めているということです。これは例えばSTJタイプには認められない性質でしょう。

 「そういう人間だって存在するし、そういう人間が生まれた理由も存在する」という諦めにも似た要因分析と同時に「俺は理解できないけど」というニュアンスも感じます。これはINTJの強烈な特徴です。

 終わりに:社会は理不尽なことばかり!それでも立ち上がって真理に辿り着くことにこそ生きている意味がある!

 INTJは社会にある理不尽さに対して常に怒りを抱えています。しかし、同時にそれでもその理不尽さを努力で乗り越えることに生きがいを見出しています。あくまで行動の判断基準は自分の外(補助機能Te)にあるのです。INTJの生きる意味は自分の理性を信じて、社会とうまく距離を取りながらあるべき自分に到達するという点にあります。そして、最終的には自分より「恵まれない人間」を救いたいのです。

 こう書くとINTJは鼻で笑うでしょうが、少なくとも世界には理解できない人間がいてもいいという寛容さを持ち合わせています。

 エフさんの動画をよく見るとまともに努力せずにいわゆる親ガチャでたまたま豊かな生活を送れている人間を最も軽蔑していることが分かります。なんなら純粋な憎悪という面ではこういう人種の事を一番激しく嫌っているでしょう。Fラン大生を馬鹿にする時と比べて、明らかに罵倒の言葉が直接的になります。

 心の底ではFラン大生も社会の歪みによって生まれた犠牲者として憐れんでいることが分かります。Fラン大生に対するバリエーションに飛んだイジりは、エフさんなりの愛情表現?なのです。

 そういう純粋に憎悪されるべき人間でないにもかかわらず、社会に対して反骨精神を持てないFラン大生に対してもどかしい感情を抱いているのでしょう。そういった歪んだ愛情もINTJ的であると言えます。

 正直このエントリーを書くまではエフさんの事をENTPかINTJで迷っていたのですが、ここまで書いてINTJであると確信することが出来ました。

 ・確信に対するこだわりが強い

 ・自分は努力を惜しまないし、相手にも求める

 ・努力が出来ない人間に対しては容赦ない

 ・とは言え努力が出来ない理由を客観的に分析できる

 INTJは見た目と異なりとても創造力が豊かなので、こういう創作活動だと他人があっと驚くようなエキセントリックな脚本を書くことがありますが、その中身はいつだって現実的です。ENTPの僕からすれば「そんなこと言ったってしょうがねえじゃん」となったりすることもあるのですが、それでも同じアドバイスを何度も何度もしてくれるというのはある意味で愛情深いことなのかもしれません。

 

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 これらの特質の集大成がこの長編動画で、小説化もされているようです。

 おそらくこの主人公はエフさんで、社会人生活で感じた事を物語に乗せているのでしょう。十話以上ありますが、どのエピソードも「努力」がキーワードになっていて、経済小説である一方で僕としては「INTJがどういう経緯で他者に寛容になるのか」を知れてとても面白かったです。

 INTJの心の内を知りたいと思う方は是非見てみてはいかがでしょうか。