心理機能/MBTIタイプごとに就活で気にするべきこと 向いている業種・企業の規模は?

 塾の運営をしているにあたって、志望する大学が就活に強いかと言うことは、生徒がよく気にするところであるようです。「今からそんなことばかり考えても仕方ないだろ」とは思うのですが、まあこの時代大学に進学することにおいて、優れた企業に就職することがモチベーションになっていることも多いので、仕方のないことではあります。

 とは言え、昨今の求人事情は10年前と大きく変化している節があります。世間的には終身雇用的な価値観がまだまだ幅を利かせているものの、実態としては中途採用においてチャンスを掴んでいたり、転職のたびに栄転している人が多くいる印象です。巷には、いわゆる優良企業の待遇を大きく上回る転職情報であふれています。特にシステムエンジニアなど特殊な技能を持つ人材を求める求人においては年収1000万を超える待遇を掲げる求人は珍しくありません。とはいえ、終身雇用を当然とするような企業もまだまだ多く、安定的な企業で心穏やかに働くという選択肢も充分に残されています。

 自分の適性を踏まえたうえで、新卒から昔ながらのエリート街道で頑張るのか、それとも新卒から転職を見据えて戦略的に取り組んでいくのか、就活時点から自分の特性を見極めるのが重要になってきていると感じます。

 まず大前提ですが、今の受験生くらいの年代の方が大学を卒業することには就職に困ることはほとんどないと考えられます。なので選ばなければそれなりの企業に就職できることがほとんどなのですが、だからこそキャリアパスを気にしていかなければならないかもしれません。ある程度真面目にやっていれば「食っていけないのではないか」という心配は杞憂です。しかし、今となっては当たり前ですが、豊かな生活を送りながら仕事を楽しくこなすことが理想なのが自然です。就職したらすべてを会社に捧げていたような時代とは違うのです。日本は凋落したとよく言われますが、そういう意味では逆に豊かになってきているのかもしれません。

 選択肢が多数残されている今だからこそ、自分に合ったキャリアパスを考えることが大事だと考えていきます。MBTIを活用する上では受験よりもクリティカルかもしれませんね。

 Siが強い方へ(ISFJ、ESFJ、ISTJ、ISFJ)

 最も日本社会に向いているタイプです。どこに就職したとしても存在感を示すことが出来ます。ですが、状況が許すのであれば迷わず伝統のある有名企業に就職しましょう。特に上場企業が良いです。

 歴史のある企業では、マニュアルがほぼ整備されています。特に上場企業ではISO9001を取得していることも多く、そういった企業ではありとあらゆることにマニュアルが存在します。実際、特に大企業であればとりあえずマニュアルに従って仕事をしていれば何とかなることがほとんどであるため、何か新しい考えを積極的に取り入れていかないと仕事が成り立たないということはありません。仮にそういう部署あなたが在籍していたとしても、着実にやるべきことをこなすというニーズは確実に存在します。会社の中で置いてけぼりになるということは心配するだけ無駄になるでしょう。

 また、そういった企業はほとんどの場合数多くの人員を抱えており、Feを持つISFJ、ESFJは企業の潤滑油として大いに活躍できることだと思います。このような企業はほとんどの場合、企業内で完結している人間関係が幅を利かせているため、人格的な評価が実際の業務における評価に直結しやすいです。なので、Feが発達している場合はどこに行ってもキーパーソンになりうる、あるいは「居てくれているだけでありがたい」ような存在になるでしょう。

 いうまでもなく、Teを持ち合わせているISTJやESTJも大いに存在感を示すチャンスに恵まれます。役員がどう言っていたのか、会合でどういう話が合ったのか、マニュアルはどうなっているのかという「現実にあったこと」に気を配りながら、自分の仕事を完遂することによって大いに評価を受けることが出来るでしょう。

 これらの方々は、学歴が許せば可能な限り有名な大企業に進むべきだし、そうでないとしても伝統のある地方の名門企業に入社するべきでしょう。

 今後の発展を夢見てベンチャーや中小企業に就職してもいいのですが、やはり野心的な企業であるほど不確実な未来を志向しますので、業務を丸投げされる(=まともな指示がない)ことも多いと思います。Siに頼って仕事をこなしてきた人にとってこれは不快なことになりかねないですから、なるべく避けるべきことかもしれません。

 SeとFiが強い方へ(ISFP、ESFP)

 表情や言い回しを通じてビジネス相手の一挙手一投足を把握することが得意です。また、思い立ったらすぐ行動に移すことが出来ます。さらに、見た目に気を配ることもできます。以上の点から、営業職や広報など人との触れ合いを仕事とすることが最も向いていると考えられます。

 ESFPは言うまでもありません。とにかく行動して人の心に触れてなんぼですから、他人の心情を巻き込む仕事をしていかなければなりません。また本人たちはそれを楽しみながらできますから、結果的に今後のキャリアアップにつながっていくことになります。必ずしも圧倒的な結果を生み出す必要はありません。転職の場面においては自分がいかにそれに主体的に取り組めたかが大事です。また、他人との上下関係を受け入れることをそれほど苦と思わないタイプなので、大企業に就職しても良いでしょう

 ISFPは内向的であるイメージがありますが、Fiとの付き合い方を覚えれば他人の心情を汲み取ることが出来る優れた営業マンになれる素質があります。「他人は所詮他人」とならず、すべてを自分事として仕事に反映していくことが大事です。そして、Se持ちとは言えFiメインであるため、おかしいことはおかしいと思ってしまいますから、ESFPと違って必ずしも大企業で40年勤めあげることを目指すべきとは限りません。今後安寧の地を見つけるためにも、新卒就職時点では転職を見据えて「向こう5年で自分が一番力を発揮できそうな場所」を見つけるようにするとよいでしょう。

 SeとTiが強い方へ(ISTP、ESTP)

 非常に幅の広い選択肢が用意されていると思います。スポーツ選手から経営者まで、何にでもなれるでしょう。

 ESTPについてはSe優勢なので、風土が合うのであれば上下関係の厳しい大企業に就職しても問題ないでしょう。ただ風土が合わないとルールに縛られているように感覚になってしまいますから就活時点からしっかり見極めておくことが大切です。先をあまり考えないという特性を逆手にとってこちらから起業してしまうということも考えられるかもしれません。

 ISTPについてはどちらかと言うと独立を見据えたベンチャーへの就職の方がいいです。Seのため大企業に就職したとしてもある程度上手くやることはできるでしょうが、Ti優勢でどうしても自律的で他者の考えを軽視してしまいがちなので、合理的じゃないルールに縛られることも多くストレスを感じてしまうかもしれません。どうせ窮屈に感じるのであれば、新卒時点から今後の自分がやりやすいように戦略を練るのもありでしょう。どこに行ってもそれなりにはやれますから、自分が一番やりたい事を目指しましょう。

 NeとFiが強い方へ(INFP、ENFP)

 いわゆる大手病を患ってしまうと一番こじらせることになるタイプでしょう。企業の風土があっていればよいのですが、彼らの理想主義的な態度が厳しく自分の環境をジャッジしてしまいます。

 めんどくさくても必ず複数企業の内定を受けたうえで、待遇や世間体に縛られず自分にとって最も働きやすそうな環境でキャリアを始めることが必要です。両社とも何となくでキャリアを始めてしまいがちですが、そうすることが命取りになってしまいます。

 特にENFPについては、面接で無類の強さを発揮するので複数企業の内定を得ることなど造作もないことでしょう。その気になれば大企業の内定も得やすいと思います。

 内向的なイメージのあるINFPについても実は同様で、自分のイメージを鮮やかに表現することにより採用担当者にうまくハマって気に入られることも多いと思います。イメージほど社会的な成功に苦労するとは思いません。INFPの感性を必要とする企業は多くあります。しかし実際に仕事を始めてみるとくだらないと思える仕事もあったりするので、そこが障害になってしまうかもしれません。

 いずれにせよ、自分の理想とマッチにない場合は信じられないくらい重いストレスを抱えてしまう事になりがちなので、仮に他人から興味を持たれたとしても、「果たしてこの環境が自分を必要としているのか?」「自分がこの環境で活躍出来るイメージが出来るか?」という視点でその先の進路を考えてみましょう。「何となく良さそう」ではなく、めんどくさがらずにちゃんとイメージをしてみることが大事です。INFP/ENFPのクリエイティビティを必要とする職場は意外とあるものです。妥協せずにファーストキャリアを考えてみることで、今後の人生の難易度が段違いに変わってきます。ファーストキャリアが順調であればそののちに大手企業へ就職することも可能ですので、とにかく自分が力を発揮できる環境を妥協せず追い求めることが重要です。

 NeとTiが強い方へ(INTP、ENTP)

 スキル第一の職種である場合は大企業でも適合できると思います。

 しかし特に文系就職である場合は、気を付けなければなりません。自分の頭のキレにある程度以上に自信を持っていることも多いとは思いますが、それだけで自信過剰になるべきではありません。INFP/ENFPよりも「バリバリ仕事して、バリバリ出世して……」というイメージを持ちやすいでしょうが、必ずしもあなた方みたいな変人に興味を持ってくれる職場ばかりではありません。能力以前の問題であると自覚することが重要です。

 理系就職をするにしても、大企業に就職すると自分の能力が必ずしも評価につながらかったり周りに気を遣う必要があるので、気を付ける必要があります。

 INFP/ENFPと同様、あるいはそれ以上に「この環境は自分みたいな環境を必要としているのか?」という視点を重視していきましょう。別の記事でも書きましたが、あなたの能力を本当に面白がってくれる環境であれば、実力を大きく伸ばす可能性があります。待遇や世間体ばかりを気にして新卒の就職先を決めてしまうと、今後のキャリアパスに悪影響を及ぼしてしまう可能性が高いです。

 

fakesam.hatenablog.com

 

 そういう点では全タイプ中最も企業の規模に縛られずファーストキャリアを考えていく必要があります。今の時代は実力次第では大手商社など以上の収入を得られる可能性があります。そのためには自分の尖った能力値を効果的に仕事に落とし込むのが重要ですので、めんどくさがらずに自己分析していきましょう。あなたの直観を必要としてくれる環境は実はかなり多いですが、その一方でそれが邪魔になる企業も多いです。INFP/ENFPであればFiによりそういう環境でも悪目立ちせず細々とやれるかもしれませんが、あなた方は下手したら周りから嫌われかねないので注意してください。

 NiとFeが強い方へ(INFJ、ENFJ)

 いずれも他人の思考を先回りして理想を働きかけることができます。NF型で理想主義的ではありますが、自分がどうこうというよりも同僚のレベルが高ければある程度満足する傾向があるので、大企業に就職するのもありでしょう。深い考えをしながらFe優勢なのでしっかり他人の顔を気にして仕事をすることが出来るので、出世もしやすいかもしれません。

 自分が活躍出来るイメージが出来たとしても企業風土が合わない場合は、仕事中はうまくやっていたとしても、心の底で苦しんでしまうかもしれません。やることはやるのでそれでも出世するかもしれませんが、その上でどう考えるかは人それぞれでしょう。ただ、これからの時代社会人生活は50年60年となっていくかもしれません。そう考えると、特にINFJは自分が楽しんで出来る仕事に巡り合えることが今後大事になっていくのかもしれません。企業の規模に囚われずに自分の理想を聞いてくれるような懐の深い環境を求めていきましょう。

 NiとTeが強い方へ(INTJ、ENTJ)

 大企業で30年かけて社長になるにしても、ベンチャーで辣腕を振るうにしても、いずれにしても「どの環境でもナンバーワンを目指す」という考え方が出来ます。どこに行っても自分が必要とされる余地を見つけ出すことが出来るでしょう。

 ただ、大企業に就職する場合は先ほど話にあった大企業特有のルール地獄に縛られてしまう可能性があります。大企業を志向する時は就職する前に周りが自分にとって信用できたり尊敬できたりするか、気を付けてみるべきです。極めて優秀な人たちに囲まれる環境ならともかく、そうでもないのであればルールに従うことを苦痛になってしまう可能性があります。皆さんは優秀かもしれませんが、それに40年耐えられますか?40年耐えて社長になってうれしいですか?あなたの事を求めている企業は多いですから、落ち着いて将来を見据えながら進路を定めていきましょう。

 まとめ

 どうでしょうか。私自身の経験として、大企業=理不尽な上下関係、ルールに縛られる。ベンチャー企業臨機応変な対応、常に緊迫感のある仕事という先入観があるかもしれませんが、現実的にそう離れているわけではないと思います。

 社会に出ると思ったより理不尽な経験をしたりすることも多いですが、ストレスの種類が会社の種類に応じて変わります。それぞれのストレスに耐性があるかないかを考えることがまず大切です。大企業における上司や先輩からのプレッシャーとベンチャー企業における役員からのプレッシャーでは同じなように見えて全然違いますから、就職前にどっちの方が自分の力になるかと考える必要があります。

 また、N型はS型よりも周りの環境に左右される傾向にあります。N型はただでさえ少数派であり、かつ自分に合わない場所だと神経衰弱を起こしてしまう可能性があるので、必ず自分に合った環境をファーストキャリアの場所として選びましょう。間違っても大手病など起こしてはいけません。

 いずれにせよ、社会人になると「いくらお金がもらえるか」「どれだけ他の人に対して偉そうに出来るか」という以外の部分でストレスを感じることが多いですから、今のうちに自分の特性を考えて将来社会で活躍するイメージを考えていきましょう。