上司・部下との付き合い方:ENTJ上司・部下編

 今回はENTJです。レアキャラなのでこれまでの記事ではほとんど取り扱ったことはありませんが、社会人になるとごくたまに見ます。結果が全てだったり、血も涙もないというイメージがありますが、Fiの発達具合次第ではそういう訳でもありません。価値観や環境によって大きく左右されるタイプでしょう。

 大企業でかつ現場に精通しているENTJ上司であれば文字通り「血も涙もない」タイプになることも多いです。人的リソースに乏しい小企業であれば従業員のモチベーションに配慮しながら振舞うかもしれません。僕は両方見ました。

 表出のされ方こそ違えど結果ありき、成果ありきの思考回路であることには間違いないので、あまり甘えた態度で接すると痛い目を見ます。彼らの気を配るポイントと妥協を許さないポイントをしっかり把握しておけば、きっと尊重し合える関係を構築することが出来るでしょう。

<上司の場合>

 1.基本的に「使えるかどうか」で人を見ているが実は結構繊細

俺のハードルを越えられないやつはカス

 他人の評価基準はとにかく使えるかどうかです。イメージ通りだと思います。常により良い未来をイメージしながら行動していて、自分の基準についていけない人は使えない扱いです。

 要は「俺についてこれるかどうか」が基準ですが、本人としてはそれなりに合理的にその基準を導き出しているつもりです。本人の経験や能力から部下個々に基準を作り出していますから、無茶なハードルを押し付けているわけではないのです。優秀とは言い難い従業員であればそれに応じてちゃんとハードルを下げています。何なら丁寧に個別指導してやっているという感覚でしょう。

 そのハードルを越えようとしない人には厳しい態度で接します。本当はクビにしたくてもそういう訳にもいかないので、大勢の前で笑いものにしたりすることもあるでしょう。特に人的リソースに困らない大企業だと顕著です。Ne一本槍のゴミカスだった時代に僕も一度やられました。

 また、若手相手であれば心意気次第では多少現時点の実力が不足していてもかわいがることもありますが、ある程度成熟した管理職が不甲斐ないと感じると、「いじる」体裁もとらずに徹底的にいじめます。

 僕が見たのはパワハラどころか完全にいじめだったのですが、絶対的な権力を手にしたENTJはそういう体裁とかはあまり考えないようです。よくトイレに行くついでにカジュアルにいじめてました。それにも関わらず、その「いじめ」を免れた人からは崇拝されていて、「尊敬できる人格」ともっぱらの評判でした。おそらくそこまで計算に入れて気に入らない奴をいじめていたのだと思います。完全にスターリンです。

出来る奴に自分を評価されることが苦手という繊細さ

 ただ、自分が課したハードルを優に超えてくる相手にはそれなりに気を遣います。その相手がSJ型だったりする場合は自分の権威を犯してこないので安心して偉そうにふるまいますが、NTPなどマイペースな上に必ずしも権威を尊重しない相手だったりする場合は多少緊張するようです。

 人的リソースに困らない大企業であればそもそもNTPを嫌って使わないという選択をするかもしれません(僕はNTPでも使えないNTPでしたが)。あなたが大企業に勤めていて上司がENTJの場合、相性が良くないと感じるのであれば異動を願い出るべきでしょう。仮にあなたが優秀であれば重宝はされるでしょうが、それでもありとあらゆる面で上下関係を振りかざしてきます。まだ若手であるなどの理由によりそれが叶わないのであれば、うまくやり過ごすしかありません。

 が、中小だとそうも言っていられません。そういうときENTJ上司は現場にあまり口を出さずモチベーターやアドバイザーに徹するかもしれません。

 「こいつをちやほやしておけば結果が出る」と思えばちゃんとちやほやします。そういう人間に自分が冷たく評価されることを嫌うという点もあるでしょう。根が合理的なので、まっとうに批判されると「うるせえ俺が上司だぞ」とは言えずぐうの音も出ないのです。言われたら言われたで火が付くのですが、言われること自体が嫌なのです。Fiがそれなりに発達したENTJであればその傾向は顕著です。

 また、仕事の能率がそれほど高くない相手だとしても、人的リソースの乏しさに配慮してそれなりに面倒見のいい上司になるでしょう。ただ、いつまで経っても自分が設定したハードルを越えてくれないような部下には次第に厳しい言葉を投げかけるようになります。

対処法

 自分がENTJ上司とうまくいっていないと感じるときは、自分の状況を周りに白状して、ENTJ上司が何を求めているのか、どうすれば評価されるのか聞いてみるといいでしょう。ENTJ上司は自分の言葉が周りにどのように影響を与えたのか常に観察していますし、具体的にサインを出しているつもりです。周りはそのサインに気付いている場合がほとんどですから、周りに助けを求めるとあっさりと解決法を提示してくれることが多いです。あなたが設定されたハードルを的確に認識するだけでも当たりは柔らかくなるでしょう。ただ反省したフリはすぐバレるので気をつけてください。

 上手くやれているのであれば、出世は約束されたようなものです。引き続き頑張りましょう。特にあなたがSJ型でない場合、理不尽だと感じるようなことも多いでしょうが、ENTJ上司本人もそれが理不尽だと理解した上であなたを試しています。なんとかしてそれを乗り越えた暁には、必ず見返りを提供するでしょう。

 また、その見返りを得た場合、直接感謝の言葉を伝えると感激してくれるかもしれません。なんだかんだFi持ちなので、自分の事を慕ってくれる人間には弱いです。日頃血も涙もないENTJが一言伝えるだけでコロッといくのですから、そういうチャンスが来たら電話の一本でもよこしてやりましょう。大企業の場合はそういう訳にもいかないでしょうから、飲み会の席で乾杯してあげるといいと思います。ただ、その感謝があまりにもうわべの言葉だとこれもあっさりバレるので、感謝の言葉は事前に考えておきましょう。

<あなたが上司の場合>

あなたが有能である限り何でもしてくれます

 ENTJ部下にとって重要なのは、とにかくあなたが有能であるかどうかです。

 あなたが尊敬できる上司である限りは、あなたのことを何から何まで信じてくれるはずです。あなたについていけば自分が出世できるという打算も内に秘めてるでしょうが、まがりなりにもFi持ちなので、打算100%ではないです。あこがれてもらえるように、強く平等な上司であることを常日頃アピールしましょう。ENTJは傲慢なくせに他人にはフェアプレー精神を求める性質がありますので、本人の功績はしっかり認めてあげるようにしましょう。

使えるけど甘えてると寝首を掻かれますよ

 表立って反抗することはないでしょうが、上司が不甲斐ない場合は知らないうちに別の権力者とつながって追い越そうとしてくるかもしれません。気合を入れて向き合う必要があるでしょう。階級が下だとしても、自分の方が影響力が強いと確信したときは強く出てきますから、あらゆる権謀術数を使って全力で叩き潰すようにしてください。強敵ではありますが、「この人にはかなわない」と思ってくれたら、一緒に出世を狙うパートナーとして活躍してくれるはずです。必要があれば太鼓持ちも買って出ますが、油断は厳禁です。基本的には徹底的に戦略的互恵関係を維持するようにしてください。

ENTJ部下は四面楚歌に陥りがち……あなたはどうする?

 ENTJは性質的に一歩間違えると日頃の傲慢さが祟ってしまって、周りに嫌われてしまうかもしれません。

 ENTJ部下が苦しいときには、手を差し伸べるか徹底的に叩き潰すかのどちらかにしましょう。あなたが自分の有能さに絶対の自信を持つときには前者でいいでしょう。Fiによりあなたが苦しくなったときには全力で味方してくれるはずです。日和見ではいけません。そうと決めたら大げさなほどかばってください。

 そうでもないのであれば、後者も考慮に入れていいかもしれません。不気味さであればENTPも一緒でしょうが、彼らはあなたが理不尽な苦境に追いやられているときに何気なく助けてくれるかもしれませんが、ENTJはそうとも限りません。Teが優勢機能なのであなたの力量次第ではいざと言う時に身を挺してでも……ということは期待できないからです。

まとめ

 ENTJはMBTIタイプで最も戦略的でかつ外部への働きかけが強いタイプではありますが、その裏返しとして相手がENTJであるとき最も神経を使うタイプであることに間違いありません。合理性を追い求めるNTタイプである一方で、さらにその中でも最も外部への働きかけが強いタイプです。すなわちあなたが目に見えて有能であることが何よりも求められますから、相手が上司だろうが部下だろうが全く気が抜けないでしょう。

 INTJにも近い部分はありますが、こっちはFi代替と言うこともあり、まだ誠意を持って接すればこちらからのコントロールも効くのですが、ENTJが相手であれば常に結果や数字で黙らせることが必要になります。逆に言えば結果さえ出せばおべっかさえ使ってくれるので、特にENTJ上司が相手なら使い道があるのかもしれませんね。そういう時はこちらからの働きかけも忘れないようにしましょう。なんだかんだで他者の承認に飢えているので、相手する側としてはとにかくFiの使い方が肝心かもしれません。