上司・部下との付き合い方:INTJ上司・部下編

 NT型ばかりやってますが次はINTJです。INTJは意外にも塾生でたまに見るのでいずれ受験対応の記事も書きたいと思います。彼らは冷たいというイメージがありますが、まともな環境にいて充分に発達したINTJであればそういう訳でもありません。

特に部下だとこっちが気を遣って大変だと言う声もありますが、INTJを部下に持った時こそ腕の見せ所かもしれません。

 ただ、そもそも組織にあまりいません。僕もほとんど見たことがありません。

<INTJがあなたの上司である場合>

 16タイプで最も上司にいたらしんどいかもしれません

 そもそも他人に期待していないし、せめて計画を乱さないでほしい

 充分に発達したINTJであればFiにより(内心呆れながら)それなりに気を遣ってくれるかもしれませんが、基本的に他人のことを信頼してません。管理職になるようなINTJであればさぞ優秀でしょうから、部下はとにかく自分の駒として自分の思った通りに動いてくれたらいいと思っています。下手にオリジナリティを出そうとして自分の計画に従わない部下はINTJ上司の一番嫌うところでしょう。NTPであればそれを面白がるかもしれませんが、INTJにとっては自分の計画に横槍を入れる邪魔者でしかありません。

 別に自分の計画に反抗されて自尊心を傷つけられたとかなくて、単に自分の思った通りにならないことが気に入らないのです。INTJの計画では、ある程度不測の事態に対してもバッファーが取られています。誰がどれくらい働くか、逆にいればどれくらい部下たちが怠けるかは想定の範囲内で、不可抗力として計画のうちに吸収しています。察しの悪い上司に対しても同様で、上層部のどのレベルで邪魔が入るかということも理解しています。それほどまでに用意周到で、周りに期待していないのです。

 そこについては諦めがついているINTJですが、故意の妨害には我慢なりません。もちろんあえて業務を妨害するような人はほとんどいないでしょうが、INTJからすれば良かれと思って「変な」工夫をしてくる部下は一番許せません。察しが悪いだけならまだしも、わざわざ計画にないことをしてくる人間など自分を滅ぼそうとしてくる大犯罪者だとしか思えないのです。

 実行中はINTJが立てた計画よりいいアイデアを持って行っても、受け入れられることはありません。一度計画を立ててしまったら、あとはINTJ上司からすればシミュレーションゲームの時を進めるようなものです。とにかくその通りに動いてもらう必要があります。

 計画を決める前なら批判精神も大歓迎 だけど同レベルで考えられない奴はカス

 しかし、フラットな状態においては周りの意見を聞きます。自分から聞いて回ることはありませんが、意見に対してはオープンな立場を取ります。あらゆる角度から次の計画を吟味したいのです。特に意見のない部下については特に何とも思わず、前述のように自動的に自らの計画に組み込まれます。別に期待はしていないのですが、とりあえず自分の駒となって思った通りに動いてもらえばオッケーです。ある程度自分の性格を熟知したINTJであれば、殊更誰かの意見を求めることもないでしょう。周りの察しの悪さに、「期待してもイライラするだけだ」ということを理解しているからです。

 ただ、INTJ上司に気に入ってもらうためにはこのフェーズが重要になります。この段階であれば、何か物申したとしても特別怒られることもありません。繁忙期に直言されると爆発しますが、この時期であれば直球で怒られることはありません。

 ただ、あまりに的外れなことを言うと怒られなくても軽蔑はされるでしょう。NT族の宿命ですが、INTJも同じレベルで議論できる人間を求めています。NTPであれば変な意見でもとりあえず受け取ってもらえるかもしれませんが、INTJが相手だと変なことを言うと次からあまり取り合ってもらえなくなるかもしれません。

 ただ一生懸命食らいついてくる奴は嫌いじゃない

 INTJは能力が半端だと社会不適合者になる可能性も高いです。しかし、組織の中で出世するようなINTJであれば大抵の場合ちゃんと優秀でしょうから、そんな人からするとあなたの意見はもしかしたら幼稚で幼いように感じられるかもしれません。さらに彼らが持つ独特なオーラもあなたを委縮させるでしょう。

 ただ、彼らはFi持ちですので、本当に一生懸命彼らに追いつこうとして考えた形跡が見えるのであれば、健気だと感じてくれるかもしれません。部下からすればそのためには尋常じゃない努力が必要なので大変ですが、形になった意見を出すことが出来れば、INTJ上司も一目置くことになると思います。NTPも同じように意見を歓迎する傾向がありますが、彼らほど甘くはないので、覚悟して意見することをお勧めします。彼らから見てあまりにも甘い意見だと、ちゃんと軽蔑してきます。

 ハードルは高いですが、INTJ上司をうならせることができれば今後優遇されることになるでしょう。INTJ本人はそれを表に出しませんが、努力を続けていればいざと言う時にあちらから相談してくれるようになるかもしれません。

 対処法

 まずは、INTJ上司からどう見られたいのかを明確にしましょう。とにかく無難にやり過ごしたいのであれば、おべっかも使わずとりあえず決まった事項におとなしく従うことです。おとなしくしていれば多少失敗しても咎められることはありません(これも彼らの計画なので)。とりあえず従っておいて、息苦しさを感じるのであればこっそり移動を願い出るのが無難です。

 ただ、優秀なINTJは組織からも重宝がられますので、出世を狙いたいのであれば彼らの懐に入り込むといいでしょう。彼らが(比較的)暇そうにしてるタイミングを見計らって、一生懸命洗練させたアイデアを伝えてみてください。本当に考え抜かれたアイデアであれば、意外と面白がってくれるかもしれません。ただ本人が一生懸命考えている時は避けましょう。死ぬほど嫌な顔をされるかもしれません。

 あと、指示されたらわかったふりはしないことです。彼らの持つオーラからあれもこれも聞くのは気が引けるかもしれませんが、聞けば割と何でも話してくれます(イライラしてるようには見えるかもしれません)。彼らの好みや思考回路に関するデータを集めて、彼ら好みのアイデアを洗練させていきましょう。その上で、突飛な話にならないことだけは注意してください。彼らが興味を惹かれるのは「使えそう」なアイデアではなく、「使える」アイデアです。

<INTJがあなたの部下である場合>

味方にするのは大変だが、一度味方になれば心強い!

 言うほど他人を下に見ているわけではない(あなたが出来た上司であれば)

 出来た上司と言うのはあなた自身が優秀であり言動が常に的確であるだけではありません。INTJの功績もしっかりと認めてくれるような上司でなければなりません。

 確かに独特でこっちが気圧されてしまうようなオーラを持ってはいますが、あなたが上司であればINTJ部下は(そうは見えませんが)実際は気を遣っていますし、評価されることを求めています。細かい部分は放っておけばそれなりに成果は出しますから、しっかりそれを認める意識を持ってください。その上で「君に任せてる仕事は君だから任せてるんだよ」と言ってあげると喜びます。

 誠意は言葉ではなく……

 ただ、INTJ部下が気持ちよく仕事をする環境は全力で整えてあげることを意識してください。彼らはそういう部分であなたの誠意を測っています。本当にしんどい仕事を彼らに押し付けているようでは、感謝の言葉も彼らの心に響きません。「自分のために汗をかいてくれている」そして「自分の価値が正しく評価されている」という事実から彼らはモチベーションを高めます。

 そういう面でもあなたは「出来た上司」である必要があります。ENTJであれば結果さえ出ていれば慕ってくれるのですが、INTJはそれだけではダメです。本人にとって心地よい環境を整えてあげるのを忘れないようにしてください。会社的な評価を全面的にバックアップするなどしてTeを刺激するとしっかりあなたの事を信頼してくれると思います。某元メジャーリーガーが誠意とは言葉ではなく金額と言う名言を残しました。そこまでドライでなくとも、実際にそういう点でフォローすることで心から信頼してくれるようになります。

 INTJは「冷たい人間」(そしてINTPは「暖かいロボット」)と言われることがありますが、INTJの特徴として自分の味方であると認識した人にはひたすら律義に接する性質があります。ただ、上記の通り「いい人である」という基準は他人(特にF型)とは少し違いますので、気を引き締めて接しましょう。

 意外とプレゼン能力は高い

 INTJは寡黙なのでMBTIの知識がないと意外に映るかもしれませんが、言語化能力が高いです。言語感覚の鮮やかさで言えばINTP/ENTPに譲りますが、簡潔さや分かりやすさで言えば16タイプでも随一でしょう。うちのエース講師がINTJなのですが、生徒の状況を非常に的確に把握しており、かつ伝え方も素晴らしいです。生徒に対する期待と現状をしっかり分けて伝えてくれるので、聞き手は誤解することがありません。

 淡々とやる仕事だけでなく何かを言葉にして伝える業務にも適性がありますから、積極的に任せるとよいでしょう。注意点としては、あなたが分からないことは「分からないから教えて」としっかり伝えることです。聞くだけでなくINTJの意図をしっかりと汲み取って的確に質問をしていけば、彼らも熱を入れて説明してくれます。

 まとめ

 一匹狼のイメージがありますが、本心では自分と同レベルで話し合える人を求めています。また、こちらが全力で向き合えば必ずその期待に応えようとしてくれるので、信頼を得ることが出来れば百人力の味方としてあなたと共に戦ってくれるでしょう。必要なのは、彼らの挑戦を受けて立つ勇気です。何の裏付けもない甘い言葉や見せかけの優しさは彼らが最も嫌うところです。前にも述べましたが、彼らとともに、そして彼らと同じくらい(上司であればそれ以上に)汗をかくことが大事です。「冷たい人間」でも、自分に対してそういう姿勢を見せてくれる人には弱いものです。