政治家で見るENTJ:泉房穂

 共通テストが終わったら終わったで生徒のメンタルケアなどもあって忙しく、ブログを書く時間がありません。次々と面談が舞い込んで息つく暇もありませんが、こういう時にMBTIを勉強しておいてよかったと思います。S/NやT/Fの違いはもちろん、T型でもTi持ちの僕とTe持ちの生徒ではちょっと考え方が違ったりして面白かったりします。まあそういう話は国公立の結果が出そろったらまた考えてみようと思います。今回のテーマは別です。

 元明石市長として最近ではよくテレビに出ている泉房穂さんです。最近ちょっと追いかけてみたのですが、とにかく面白いほど言動や挙動がENTJなので、特徴をまとめてみようと思います。

 

 1.見た目はそこまでバチバチではない

 Tiktokなどで見るENTJのステレオタイプは「バッチリスーツで決めたシゴデキお兄さん」ですが、実際のENTJは必ずしも「シゴデキオーラ」を発揮しているとは限りません。そこはESTPとかが気にする部分でしょう。

 泉は一見したところ「普通の関西のおっさん」という感じで、取り立てて見た目に特徴があるわけではありません。ENTJは信念と結果を何よりも重視しますから、特にその実現に必要不可欠ではないのであれば、普通以上に見た目に気を遣うことはないです。

 僕の知っているENTJは社内で教祖のようにあがめられていましたが、見た目だけで言うと肝臓の悪そうなただの太ったデカいおっさんでした。真のENTJは見た目ではなくビジョンや信念で周りを圧倒します。

 

 2.自分のビジョンに完全なる自信を持っている

 僕はこの記事を見てこのエントリーの執筆を決めました。

泉房穂・明石市長退任 3期12年の光と影 子育て支援で全国区に、再三の暴言摩擦招く | 総合 | 神戸新聞NEXT (kobe-np.co.jp)

 >自身の政治手法について「『この結論が正しいので皆ウンと言えばいい』との気持ちがぶっちゃけある」と吐露。

 とのことです笑

 僕はネット上の診断の中ではNiが強いとよく出ていましたが、この人の言動を見ていると「ああこれが本物のNi持ちか」と感じます。

 Ni:内向的直観とは自分の中でひたすら考えを巡らせて一つの確信を持つという人間の性質です。ENTJは、Niにより考え抜いた結果たどり着いた結論を世の中の公理(客観的に誰が見ても正しい)と確信していますが、その思考プロセスの中には多分に直観や推定を含んでいるので、細かく言語化することが難しいのです。客観的な論証をしようと思えばできるのでしょうが、あまりのそのプロセスが複雑なので、いちいち説明を求められると「正しいんだから従え」という言葉しか出てきません。だからすぐキレるのだと思います笑

 そういう点で言えば、例えば橋下徹などは僕はESTJだと思います。橋本はよくENTJだと言われていますが、橋本は自分の主張を述べるときも反論する時も必ず明快なロジックを持ち出します。しっかりロジックを用意しているのはいかにもNT型のステレオタイプですが、基本NT型のロジックが明快なことはありません。もちろん明快に見せかけることはありますが、本人はそれを対外用に明快に見せているだけであって、本当にそれですべてを説明できるとは思っていないのです。

 ちなみにINFJ/ENFJもこの機能を持っていますが、彼らは熟考の上で時に公理を超えた結論に辿り着きます。「今の世界では正しいとされてる事じゃないかもしれないけどそれは今の世界そのものが絶対に間違ってるだけだ」という具合です。

 特に確信の強さで言うとINFJのイメージが強いですが、INTJ/ENTJはそれを公理だと捉えるという点でちょっと見え方が違うということです。

 

fakesam.hatenablog.com

 

 3.勝ち筋があれば信念の実現のためなら他人から嫌われても平気

 自分の信念を公理と捉えるがゆえに、とても強権的に映ります。議会からは相当に嫌われているように見えましたが、泉本人は全くそのことを意に介していないようです。

 自分の信念を公理と捉えるということはすなわち、それを物理法則と同水準の正しさだと捉えるという事です。つまり、自分の信念は物理法則と天秤にかけられるものであってかつ、物理法則と同程度に世の中に浸透すべきだと考えますから、泉からすればそれ以外の政治力学や人間関係の力学は全く考慮するに値しないのです。

 もちろん、自分の信念を実現するためには政治家として選挙に強くなければなりませんが、「市民はきっとわかってくれる」というこれもまた確信めいたものが最初からあったのだと思います。実際最初の選挙から既存勢力の影響を無視したとしても勝てるという確信があったようです。もちろん戦略をしっかり携えていたのもENTJ的ですね。

“泡沫候補”扱いだった明石前市長が「組織票なし」でも勝てると確信した理由 | ニュースな本 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

 現に市民の心をしっかりと掴み、市長選においては2期目以降無類の強さを発揮し、辞任後の後継候補も圧勝しています。

 上記のインタビューは、言葉は悪いですがちょっと狂気じみています。「理論上実現可能なこと」というのはほとんどの場合実行にすら移されませんが、本当に実行してしまうという点ではとても特異な存在だと思います。これがINTP/ENTPだと思いつくだけで多分実行には移しません笑

 

 4.抽象的な言葉を連発する

 これは上記と連続する話ですが、泉の話は文字数が多い割に複雑なロジックが出てきません。少し話が入り組みそうになると「方針転換」「市民のための政治」「お金を付け替えるだけ」という言葉を連発します。もちろんこれは本当に何も考えていないわけではなく、考えることが多すぎて具体的に一つ一つ説明していられないのだと思います。

 個人的にはどちらかといえば応援していますが、そういう点がそのうち目立つにつれてただのポピュリストに見られそうで憂慮しています。「任せてくれたら結果は出すんだから耳障りのいい言葉だけを聞いてただただ応援してくれればいい」と捉えられかねません。まあ本人が実際それらしいことを本当に言っているんですが笑

 ENTJは敵を作りやすいとよく言われていますが、ただでさえ強権的なのに説明をおろそかにするためにそういった点で足元をすくわれやすいのかもしれないです。

 

 5.思い込みが激しい

 ENTJ全体に見られる傾向ですが、例えばサラリーマンのように組織の論理を重んじる身分であるENTJであれば、この面はある程度カバーされます。ほとんどの場合上司が存在するのでうかつなことは言えませんし、ENTJは出世を重んじるので下手な減点がないように不確実な面では慎重にふるまうからです。

 しかし、泉はサラリーマンを経験しているものの、特に明石市長以降は組織の論理からほぼ解放されながら名声を高めてきたような人間ですから、そういったリミッターが外れてしまっているのかもしれません。

 特に暴言や軽率な言動にはENTJの本来の悪い面である思い込みが存分に出ています。Wikipediaでも長々と不祥事関連の記載がありますが、よくもまあ政治家が汚職とカネ以外でこんなに不祥事を起こしたなと思えます。

泉房穂 - Wikipedia

 上記にある通りENTJのメイン認知機能であるNiとは、とにかく自己の内面で確信を研ぎ澄ましていく機能ですから、気を付けていないと時に地に足がつかなくなり、思い込みで周りの顰蹙を買うような言動を起こしかねないのです。

 土地買収交渉の仕事が進まない職員に対して「火付けて捕まってこいおまえ。燃やしてまえ。損害賠償を個人で負え」と暴言を吐いて問題になったのは有名ですが、とてもENTJ的です。癇癪を起こした時も具体的なビジョンを見ていたのが見て取れます笑

 

 6.非現実的とも思える戦略を大真面目に語る

 これも上記で触れているのですが、ENTJは常に大戦略を描いています。ENTPほど独創的ではないとよく言われますが、筋が通っていれば突飛な戦略でも簡単に採用するのがENTJです。

 泉は上記の通り普通の人が考えもしなかった戦略で明石市長になりましたし、その退任後は(名言こそしませんが)どう見ても総理大臣を狙っているように思えます。

 下に添付した動画では、日本の政局を一変させる戦略を語っていますが、少なくとも政治力学的には無茶苦茶だと言えます。それでも、自分の確信をビジョンに落とし込み、あたかも正攻法であるかのように語ってしまえるその思考パターンが、まさにENTJの実行力の源泉となっているように思います。

 一歩間違えば質の悪い夢想家ですが、実力を兼ね備えたENTJであればそれを実現しまえるだろうと思わせるようなオーラを醸し出します。そして、時には本当に実現してしまうのです。

youtu.be

 

 まとめ

 ENTJは社会の王者というイメージが先行しすぎた結果、16タイプの中でもステレオタイプと現実の乖離が激しいタイプであるように思います。ビジョンや信念の強さとそれを現実のものにしたいという野心では比類のないタイプではありますが、ENTJであれば誰でも決して隙のない完璧人間というわけではありません。泉のような東大卒→マスコミ→弁護士→政治家というスーパーエリートENTJでも、わきが甘い部分があるのです。逆にそういうエリートだからこそ自己の信念に対する確信がより強まり、その結果ENTJのいい面も悪い面もむき出しになっているのかもしれません。

 また、社会的な評価に差のあるタイプでもあると思います。押しの強いタイプなのでそれだけで社会で成功する確率は比較的高まりますが、スペックの低いENTJであればその実は煙たがられるだけになってしまうかもしれません。信念だけでなく常に思い込みに寄らない客観的な実力を高める努力が必要でしょう。

 ENTJに強いあこがれを持っている人はぜひ彼を観察してみてはいかがでしょうか。