慶應義塾大学の小論文対策は本当にやるべきなのか?合格経験者が解説 MBTIも関係する?

 アクセス数を狙っているわけではありませんが、あれば嬉しいので表題のつけ方を調べて早速応用してみました。キーワード設定できてますかね?

 さて、慶應義塾大学の入試の特質として、国語ではなく小論文が出題されます。これ幸いと古文漢文にアレルギーのある生徒が慶應義塾大学を志望するのはよくある話です。

 そこで問題になるのが、「果たして小論文の対策をする必要があるのか?」ということです。インターネット上では「全く必要ない!!!」と声高に宣伝して個別指導の生徒を集めているブログも見かけますし、「なんだかんだで必要だ」と言っているのもよく見かけます。

 ちなみに僕は小論文無対策で慶應義塾大学の法学部と文学部に合格しました。ちなみに経済は小論含めて全科目でやらかして落ちました。結局どこに行ったかは内緒です。

 ともかく、慶應義塾大学に合格するためには結局何をどうするのが正解なのでしょうか?小論文対策をがっつりやるべきなのでしょうか、それとも胡散臭い連中が吹聴しているように無対策で突撃しても良いのでしょうか?もちろん、人間人それぞれなので一概にどうだとは言えませんし、効率はともかく単純に頑張れば頑張るだけ合格可能性が高まることは間違いありません。とはいえ、こういうブログを始めた以上「頑張れば受かる」で全て片付けてしまうのも味気ないような気がします。そこで、もっと深く考察してみたい、そしてMBTI、あるいはユングのタイプ論における心理機能からこの謎に切り込んでいきたいです。今日はそのことについて考えてみたいと思います。

 前もって注意しておきますが、今回具体的な参考書の名前とか対策の方法の紹介はしません。そういうのが見たい人は武田塾とかCASTDICEのチャンネルを漁ってみてください。

 前提:小論難しいからアテにできない!なるべく英語と地歴/数学で取ろう

 当たり前ですが、他科目は基本的にマークシート式、文学部や経済学部では記述式も多いものの、たかが知れています。なので小論文以外の科目はやった分だけ点数が計算できるようになりますから、基本的には小論文をアテにしないことです。慶應義塾大学の小論文では本文で取り扱う内容は毎年極めて格調の高い文章です。これをしっかり読み解くだけでも苦労するのに、要約してさらに具体例も混ぜ込みながら説得的な文章を書くのはどれだけ対策しようとなかなか大変なことです。人間としてのベースの教養と地力が求められます。

 ちなみに僕が受験したとき、終了の声が響いて試験監督が答案用紙を回収しだした頃にあたりを見回すと1/4くらい白紙だった記憶があります。試験前にすごくきれいな女子を見つけて、「さすが慶應はちげえなあ」と思ってたらその子が小論文をほぼ白紙で提出していて悲しい思いをしました。

 小論文で教授たちの心を動かすのに必要な要素は何でしょうか?

 まず、小論文と言う科目がどういう目的で課されるのかを考えてみましょう。

 大学の場合、世間では特に文系においてあまり学問におけるセンスは考慮されません。特に私立文系はいわゆる高学歴だと言われるようなところでも「入ってしまえばこっちのもん」「所詮は就職予備校」とよく言われます。が、現実はともかく少なくとも受験者の選抜時点では教授たちはそう思っていません。受験生たちが書いた小論文を採点する時、教授たちは自分が彼らをゼミや講義で受け持ち、定期考査にあたって生徒が書いた答案を読む未来を想像します。

 早慶や難関国公立レベルにもなると、教授たちの経歴はきらびやかでプライドも相応です。そんな彼らは小論文の採点にあたってこまかな日本語的な語法の違いなどそれほど問題にしません。彼らにとって大事なのは、「果たしてこの子は私の講義を受けるに値するのか?それだけ自分で物事について考える能力があるのか?」ということ、そして、「優秀な私が時間を使って読むのだから、私のお眼鏡にかなうようなプレゼンをする素地がある生徒を入学させたい」と言う気持ち、そして「この子に学会で通用する未来が見えるか?」ということです。

 要するに、その試験時点における受験生の手前の能力、すなわち「それらしい」語句の使い方やいわゆる小論文の作法であったり、表面的な知識であったりというものは、もちろん採点基準には含まれますが、決定的なものにはならないでしょう。極端に言えば小論文としての体裁がお粗末だったとしても、光るものがあればある程度得点を貰える可能性があるのです。

 「光るもの」とは何でしょうか?

 まずは発想力です。文章として必ずしも一流じゃなくても、「何か面白そうなことを言っている」となると教授たちは読んでいてワクワクするようです。それが結果的にプロから見ると浅はかなものだったとしても、それなりにつじつまが合っていればそれで面白がります。優等生的な主張や作法にのっとりすぎた論理展開に心が動かされることはありません。高校生ごときに課す小論文でなにか素晴らしく格調の高い文章を書いてくれるかなど、教授たちのうち誰も期待していないでしょう。

 教授たちは小論文の答案を読んで「高校生の割にしっかりした文章を書くな」と感心することはありません(学者にはINTPが多いということもうなずけます)。「変なことを言っているけどなんか筋は通っている気がするぞ」ということに一番興味を向けるのです。彼らにとってみれば受験の採点はリクルーティングのようなものです。基本的に学部レベルの知識で論文を書く時、ありとあらゆる論点においてアイデアは出尽くしています。彼らも仕事ですから一応全員にアドバイスを送ったり添削をしてあげたりしますが、学部のゼミなどさぞ退屈していることでしょう。そんな中、つまらない採点作業と日々の業務に風穴を開けるイメージを持てるような小論文を提出することが出来れば、さぞ光って見えることでしょう。

 また教授たちは習性として、問題意識に上っているものを端的に表現されると喜びます。もやもやしていることをズバッと指摘されると、信じられないくらい快感を得るようです。そういう意味では、表現力も重要な要素となります。

 小論文のセオリーとして、「論理をはっきりさせていれば表現自体は稚拙でもよい」「鮮やかな表現をする必要はない」とよく言われますが、並みの大学ならまだしも慶應義塾大学でそういう表現的なセンスを求めない理由はないと思います。もちろん結果として何を主張したらいいのかわからないような小論文は論外ですし、裏切りのないきれいな文章を書いて「なんとなくしっかりした子なんだろうなあ」というイメージの浮かぶ答案を書ければそれなりに点は来るでしょう。しかし、採点者たちは確実に根本でそういう鮮やかな表現力を求めています。日頃から語彙や表現手法が豊富だったり、相手の意表を突く主張をすることに慣れている人であればそれだけで優位に立っているということは疑いようがないでしょう。

 どういう能力を鍛えたらよいのか?

 1.背景知識

 常日頃から様々な事象に関心を持っていることが大事です。これは特に慶應義塾大学の場合英語の長文読解でも大きく影響しますので、ニュースや社会情勢に触れて色々裏を取りながら掘り下げて、自分の考えを持つようにするといいでしょう。

「ロシアがウクライナを攻撃する」⇒ロシアとウクライナはどのように成立してきたのか、今回の件をロシア国民はどう考えているのか、ロシア側の言い分は何なのだろうか、またそれは客観的に見て聞く価値のあるものだろうか

「とある被告に死刑判決が下された」⇒なぜ死刑制度が「残虐な刑罰」に当たらないのか、賛成派反対派それぞれの言い分は何なのか、諸外国ではなぜ死刑制度が廃止されているのか、死刑制度が廃止された国の凶悪犯罪の発生率はどうなっているのか

 など、何でもいいです。こんな物々しい話でなくてもいいですから、息抜きがてら日頃気になったことを掘り下げてみる癖をつけましょう。いずれは自分の深い部分の教養が強化されていきます。とにかく、世間的に正しいとされているものを信じるのではなく、多角的にモノを見る態度を鍛えましょう。自分が賢くなっていくのはtiktokを死んだ目で回しているよりも楽しいと思います。

 2.文章構成力

 これはとにかく書くしかありません。要約はともかく、自分の意見をぶち上げた後、その根拠を書いていくのはなかなか大変なことです。受験生は勉強に慣れていないほど完璧主義に陥ってしまいますが、完璧主義だといつまでたっても書き進められません。とにかく書いてみる勇気を身に着けるのが大事です。どんなお題にも対応できるように、とにかく時間内に書く訓練を積む必要があります。ただ、どうしても知識が必要な場合は中断してインターネットなどで調べてみるとよいでしょう。そうすることで背景知識の補強にもなります。

 3.書いたものを添削してもらう

 自分ではよく書けたと思っても、思っている以上に論理展開に矛盾や飛躍が生まれてしまうものです。採点者は論文精読のプロですから、ごまかしているつもりでもあっという間にバレます。とはいえ所詮高校生レベルの文章であれば稚拙な点があるのも織り込み済みではありますが、あまり論理が破綻していると相手にされないし、そもそもそんなもの無いに越したことありません。

 こういう時案外大人は頼りになるものです。学校の先生、塾の先生など誰でもいいので、しっかりした大人に読んで指摘してもらいましょう。この時に大事なのは、素直な気持ちでアドバイスを受けることです。「こいつは分かっていない」とバカにするのは論外だし、聞くだけ聞いてあとは自己流なんてことのないようにしてください。不満があるなら議論する態度が大切です。具体的には、言われたことに自分が言い返せないようなアドバイスを受けたときは特に聞くべきです。必ずその人に納得してもらうまで書き直しましょう。

 4.パクる勇気と捨てる勇気

 書いているうちに、他の人の主張を思い出して言い回しをパクってみたくなることがあるでしょう。それがもしこの文章を進めるにおいてどうしても必要であれば、思い切ってパクってみるのもありです。ただそれは、何となくかっこいいからとかではなくて「言いたいことを表現するにはその言い回しでなければだめだ」という状況に限ります。逆に、いい感じの言い回しを思いついたからどうしても使いたい、論理展開の邪魔にはなるけどそれでも使いたいと思ってしまう事もあると思います。そういう時は、思いついたアイデアをバッサリ捨ててください。言い回しを考える基準はあくまで「いかに伝えたいことが効率よく伝わるか」です。

小論文の対策をMBTIタイプ別に解説

 ENTP/INTPがとても優位!!

 はい、ここまで来たらもうバレバレですね。ENTPとINTPは慶應義塾大学の小論文対策にきわめて向いています。Neで本文からありとあらゆる可能性を見つけ出し、Tiで説得的に洗練させるということは、彼らが常日頃やっていることです。もちろん、語彙や背景知識が不十分であれば話にならないですが、日頃充分に知的好奇心を発揮できているENTP/INTPであれば、文字通り大した対策をせずに教授に興味を持たせることが出来るかもしれません。

 ちなみに僕はENTPですが、前述の通り小論文は無試験で挑みました。本番は日本語的な精緻さや論理構成についてはボロボロだった記憶しかありません。が、受かりました。英語と社会で両学部ともに合格点+30点くらいは取れていたので小論文で稼げたのかはわかりませんが、逆に言えばこんな僕でも小論文で30点くらいは点数が来たということになります。巷では少し油断すると10点台の点数も平気で来ると噂されているにもかかわらずです。これは結局個人的な体験かもしれませんが、日頃から世界情勢やニュースに興味を持っていたこと、そしてNeによる対応力が大きいと考えます。本文はほとんどなにを言っているのか理解できませんでしたが、それでもこれまで蓄積してきた知識やそれを基にした言語化能力によって救われたのです。

 あなたが本当にENTP/INTPであれば日ごろ考えることがあっても必死にこらえてみんなと仲良くしているはずです。それでも「変な奴だ」と言われていると思います。試験では日頃あなたが飲み込んでいる「仮説」を、これでもかとぶちまけましょう。それだけで自然と字数は埋まってくるはずです。

 とは言え、最低限の「小論文の作法」は理解しておく必要があります。先ほど文章の格調高さはあまり重視されないと言いましたが、それでも早慶です。あまりにもぐちゃぐちゃだと読む気を失われておしまいですので、最低限の作法は身に着けておくのが無難です。

 そしてひらめきがあったとしても慣れない中で文章のつじつまを合わせるのはそれなりに大変なことです。ENTP/INTPも十代ではいろいろな能力がまだ未発達であるので、論理が飛躍しがちです。また、独自理論にこだわりすぎてはたから見たら意味不明な文章になっていることもよくあります。そうなってしまうと話にならないので、しっかり対策を行って最低2週間に1つ小論文を書いて大人に見せるといいでしょう。論理的な矛盾があるかどうかを確認するのであれば小論文の専門家でなくてもある程度しっかりした大人であれば十分です。学校でも塾でも親戚でもいいので、定期的に見てもらって飛躍のない文章に慣れることが出来ればそれなりに点数は来ると思います。

 逆に言えば、小論文に向いているタイプでもそれなりに対策は必要と言うことです。僕みたいな例はおそらく希少だと思います。正直に言って運が大きかったです(現に経済学部ではぼろくそにやられています)。着実に合格を手繰り寄せるためにも、自信があっても下手な賭けに出ないことです。

 ENTJ/INTJ/INFJ/INFPはその次に有利

 INFJは過去の経験や知識などからそれなりに示唆のある文章を書ける可能性があります。INFPはFiとNeなので、表現力に優れていますね。論理性にさえ気を付けていれば、あっと言わせる文章を書ける可能性があるわけです。ただ、NF型はプロセスこそ違えど言語化するまでの道のりが長いという欠点があります。INFJは完全にピンと来るまで言葉にするのをためらうし、NFPはイメージこそ鮮やかでもそもそも外的世界のためにそのイメージを言語化する習慣がありません。本番で考えていたら残り10分なんてことにならないように、とにかく書き切って人に見せることを意識して練習を積み重ねていきましょう。INFJ/INFPが演習で注意することは、自分の中でまとまらないから書くのをやめる、時間が過ぎても延々自分が満足いくまで書き続けるなんてことを繰り返さないようにすることです。この2タイプは思考回路は全く違うのに外界への表れ方は同じだから面白いですね。

 ENTJ/INTJは基本的には得意だと思います。自分のパターンとして持っているお題が出た時は、ENTP/INTPよりすらすら書き進められるかもしれません。しかし、本文が肌に合わなかった時が問題です。Ti優勢組であればそういう時ありとあらゆる角度からこじつけて論理を組み立てていきますが、Teはそういったことはあまり得意でないです。そんな場合いつも通りNiのひらめきを待っていると、あっという間に時間が過ぎてしまうかもしれません。すっぴんの論理性については文句のつけようがなく、ひな型さえ身に着けてしまえば彼らは問題ないと思いますので、しっかり対応していきましょう。どんな話題が来ても打ち返せるようになるまで瞬発力を鍛錬しなければなりません。

 それ以外のタイプ

 ENFP/ENFJは高いポテンシャルを秘めているものの、論理が飛躍しがちです。ENFPはいつものように脈略のない論理を展開しないように地に足を付けて取り組む訓練をしなければなりません。ENFJは論理のコア部分が明瞭なのはいいですが、こうあるべきという想いが強すぎてやはり飛躍が生まれてしまいがちです。いずれも瞬発力についてはそこまで問題ないとは思いますが、落ち着いて自分の主張を補強していく癖をつけてください。まず人に見せる前に1日置いてじっくりと自分で読んでみるといいでしょう。「こうあるべき」ではなく、だれがどう見ても納得する文章になっていますか?そういう観点で自分に厳しくジャッジしていきましょう。

 ISTP/ESTP/ESTJ/ISTJは本来とても論理的ですが、一方でその理論を綿密に言語化することがあまり得意ではない傾向にあります。INTJ/ENTJはコンパクトに表現する能力に長けていますが、彼らはそもそもしっかり言語化するということに慣れていません。まずは参考書で語彙力を鍛えてもいいかもしれません。そこから化ける可能性もありますが、やはり自分の守備範囲外である話題が出題されると非常に苦しむと思いますので、ENTJ/INTJ同様、いやそれ以上に地道な練習が必須でしょう。

 ISFJ/ESFJ/ISFP/ESFPはどちらかと言うと苦手なことが多いかもしれません。進学校出身であったりもともとハイスペックであれば小論文のように自分の考えをまとめるのも朝飯前でしょうが、高校生から勉強を始めるとなると大変です。何より勉強の成果を自分の言葉で表して、かつ客観的な指標により評価されるという経験が高校教育の中であまりないですから、まずそこに戸惑うと思います。それでもISFJ/ESFJは添削を通じて指導を受けるにつれて、「そういうもんなんだ」と割り切ることによってそれなりに上達していくことが多いです。僕の指導経験でも、最初のころは目も当てられないくらいのコピペ地獄で頭を抱えていた生徒が、1か月も経つとそれらしい文章を書けるようになっていました。持ち前の素直さを発揮できればぐんぐん上達する可能性を十分に秘めています。

 一方ISFP/ESFPはFi由来の頑固さが足を引っ張ってしまいます。本人らに頑固であるつもりはないでしょうが、やはり良くない部分を修正するのは大変です。彼らの場合は、いかに「言われたことをやり切るか」がテーマになるでしょう。一生懸命書いた文章をやいのやいの言われるのは気持ちのいいものではありませんが、一つ一つ直していくことで、最終的にはみんなをはっとさせるほど純粋な文章を書けるようになる可能性があります。

まとめ

 駆け足になりましたがこんな感じです。結論としては、得意不得意こそあるものの「どのタイプにも弱点はあるので対策は必要」ということです。逆に言えば、得意な面もあるのでしっかり自分の強みと弱みを把握して対策をしていくことで、誰にでもチャンスはあるということになります。ネットでよく見る「無勉で大丈夫」と言う人は、元々極端に知識が豊富だったか、文章を書くセンスがあったのか、あるいはただ運が良かったかのいずれかだと思います。どれも全員に当てはまるものではないので、本当に慶應義塾大学に合格したいのであれば、まず文章を書く訓練をしてみることから始めなければならないでしょう。

 とにかく制限時間内に書けなければ話にならないので、ごちゃごちゃ言わず書き慣れましょう。得意不得意が出てくるのはその後です。