何もしてない人が1年浪人して早慶逆転合格するにはどうすればいいのか

前の記事からの続きです。前の記事では「暗記だけで受かるのか」考えるという予告をしましたが、こっちの方が良さそうなので少し変えています。MBTIも少し絡みます

 

fakesam.hatenablog.com

 

・暗記だけで受かることもできなくはないですが途方もないです

 ただそれこそ常識外れの暗記量が必要なので、結果としては3科目(or2科目+小論)でも途方もない努力量が求められることになります。

 3年間遊んできた偏差値50前後の高校に通う生徒がどうすれば早慶合格ラインにたどり着けるのか考えてみましょう。あ、今回はもちろん文系の話です。

 まず最重要科目である英語で考えてみましょう。

 単語帳で言えば「システム英単語」や「ターゲット」では当然足りず、「速読英単語上級編」「パス単準1級」「スパルタ」などの難単語集のうち2つはやりたいです。もちろん、派生語や関連熟語も全てマスターする必要があります。

 「派生語もクソ真面目に覚えるのは不健全だ!」という声も強いです。僕も同意なのですが、こういう生徒に必要なのは大抵の場合は丸暗記です。そして世の逆転合格狙う生徒もほとんどがそういうつもりでしょう。

 本来英単語は長文に触れながら英語のリズムをつかみながら覚えていくことが理想ですが、今回モデルになるような生徒であればおそらく最初は基本丸暗記になります。ターゲット1900の和訳1つを覚えるのもしんどいのに、大体1単語に追加情報が2個くっついているとすると、この生徒が1冊を完全に仕上げるためには1900×3で5700個の情報を丸暗記する必要があります。今回のモデル生徒であれば、この時点で高校生活3年間での勉強に関する努力量を上回るでしょう。これに加えて文法書1冊、英文解釈1冊、ここまでは丸暗記になると思います。で、それらを丸暗記したらしたで今度は長文が読めないという壁にぶつかるでしょうから、そこでまた莫大な時間を使って長文演習をしつつ熟語と高度な解釈本を数冊こなします。

 そこまでこなしても特に早慶中上位学部だとまだ長文を読めません。早慶の問題では暗に社会科目全体の高度で横断的な知識や理解を聞いてくることが多いからです。特に近代史や倫理政治経済の知識があるとないとでは大違いなので、確実に合格を目指すのであれば長文読解を通じてそういった知識や考え方を身につけなければいけませんから、自然と演習量も増加します。

 また本文と設問がとても複雑で、読解力も試されます。早稲田は本文で厳格な構文解釈力を求めていて、慶應は出題テーマが多彩だったり設問が抽象的なイメージです。よくモリテツが慶應の英語は簡単と言っていますが、あれは本人がMBTIでいうNT型なので、背景知識が豊富で出題テーマへの対応力が高く、かつ抽象的な問いに答えることに慣れているためです。ちなみに僕も正直慶應の方が簡単だと思います。脱線しそうなのでこの話はあとでします。

 ともかく、早慶レベルに達するには英語1教科を固めるだけでもこれだけ莫大な努力が必要であり、今回のモデル生徒であれば感覚ですが2000時間程度は覚悟した方がいいでしょう。

 加えて国語と社会で合わせて2500時間とすれば大体4500時間程度、1年で300日勉強するとすれば一日15時間となりますが、そこそこリアルじゃないかと思います。さらにその上で過去問演習に余裕を持ちたいなると……考えるだけでも恐ろしいですね。3年生で「浪人すれば早慶いけるから今は高校生活満喫しよ」と思っている人は一度1週間使って学校のある日に家で最低5時間、土日に15時間勉強してみてください。それが苦にならないのなら目指す資格があると思います。

 さすがにそれだけやれば受かる可能性はあります。もちろんこれでもぎりぎりのラインですが、早慶は学部ごとに何回も受けられるので1回引っかかる可能性は十分出てくると思います。ただ繰り返しますがこれはギリギリのラインです。ここまでやっても当たり前に全落ちもありますから、真の意味で1年を捧げる覚悟が必要でしょう。

・俺は効率いいからもっと楽に受かれると思ってません?

 ここからは多分に僕の愚痴も含みますが、ほとんどの人が多かれ少なかれそう思ってないですかね?理論上一日15時間勉強するのは可能ですが、実行に移すのは難しいと誰もが知っています。だから、「効率意識すれば大丈夫」なんて逃げ道を考えてしまうのです。4500時間やる腹をくくってください。そもそも本当に効率がいい人であれば3年でそこまで遊んでないと思います。

 もちろん、全員が全員4500時間必要なわけではありません。勉強を積み重ねながら試行錯誤が出来る人はもっと短い時間で合格できます。そして、模試や過去問を積極的に活用して自分の立ち位置を素直に受け入れ、冷静に状況を分析し、努力する方向性を修正できる人であれば必要な勉強時間はさらに短くなります。2000時間台で合格することも充分に可能でしょう。

 よくあることですが、「過去問をやるのが怖い」とか「模試の形式的に俺には関係ない」などと言っている人は大抵うまく行きません。自分の出力結果から真摯に学んでいく姿勢が必要でしょう。点数として結果が出ると自分の努力が否定された気になるようですが、そんなこと言ってられないとしか言いようがありません。最初は勉強のやり方それ自体が下手くそなのですから、常に自分をアップデートさせましょう。

 こういうと「俺はそんなことないぞ」という人も多いでしょうが、途中で考えるのをやめて暗記やインプットだけに逃げる生徒は実に多いです。そこに根拠があればいいのですが、たいていの場合は手身近な(=考えないで済む)勉強に逃げたいだけで、自分の弱点を補う事にはならないので成績にはほとんど影響しません。まだ努力が足りないという現実や、未熟な自分を受け入れると言うのはそれだけしんどい事なのです。

 受験勉強はよく自分との勝負だと言われます。それ自体は正論なのですが、現実にある世界との対話に慣れていなければなりません。そういう意味ではJ型は基本的に有利でしょう。それでも偏差値は簡単には上がりませんから、途中で心が折れてしまわないように必要があれば休んだり一歩引いてみたりなど、周りのアドバイスを素直に受け入れることも考えましょう。

 逆にP型はしんどいかもしれません。一度自分の努力が否定されてしまったら、内面の整理がつくまで足踏みしてしまい、それが非常に痛いタイムロスとなるからです。常に自分の状況を正確に把握しながら将来を予測し、見込まれる結果に対してFP型は自分の感情を、TP型は自分の思考を先回りして自分の逃げ道をふさいでおくことを心がけましょう(特にNの人)。

 まとめ

 暗記一辺倒で合格するための勉強時間は4500時間程度なので、巷で信じられている通り暗記をガチればギリギリ1年で逆転合格可能です。ですが、現実的に1日15時間勉強をやり切れる人がどれだけいるでしょうか?という話です。しかも、本人の適性や集中力によってはこれ以上に増える可能性は充分にあります。ですから、常に自分を客観的な視点で見極め、効率化していく意識を持ち続けなければなりません。これは精神的にかなりしんどい作業になりますが、それ以外に道はないですよ。

 逆に言えば、理論的には可能だと言う事です。これが現実の早稲田人気につながっているのでしょう。実際に本当の意味(浪人開始時点の偏差値40程度)で逆転合格を果たしている人も非常に少ないですが存在します。旧帝国大学などはまず高1時点での学力で実質的にふるいにかけられますから、ゼロから学歴ピラミッド最上位を目指すとしたら早慶がほぼ唯一の道でしょう。

 次は早慶の学部ごとの過去問傾向の研究です。MBTI別に考えていこうと思います。