うるせえよ何が管理してほしいだよ自分に合った勉強法なんて自分で探せよ

 MBTIちょっと関係あります。

 入試直前期となり、問題を解く手順について相談を受けることが多くなりました。試験の内容で言えば「解く大問の順番はどうしようか」「予想問題集をどういう日程で解いたらいいのか」「全問答えようとするとすると間に合わないから最後の数問は捨ててよいか」。勉強法で言えば「あとこの科目はどの参考書を見直せばいいか」「単語帳には何分時間をかけるべきか」「残りの期間どう勉強時間の配分をしていくべきか」とかそういった話が多いです。

 まずそういった問題意識をもって私のところまで聞きに来てくれることについてはとても素晴らしいと思います。現実的には問題意識すらまともに持ち合わせていない生徒が多数です。そんな中とても良い心がけではあるのです。

 ただ、生徒がアドリブを入れ込む余地のない計画を考えてようとしている時は注意しておかなければなりません。

 大前提として、「一発ですべてを解決するような完璧なプラン」は存在しません。特に現代の共通テストは昔と違って毎年どこかしらマイナーチェンジされており(しかも難化寄りで)、傾向に100%寄せた対策は逆にリスクとなりかねません。

 もちろん抜本的な変化がある場合はサンプル問題が公表されるはずで、そうでもない年にあまりマイナーチェンジを恐れる必要はありませんが、それでもガチガチに「大問4はこうだからこの問題は捨てて……そうすれば時間ぴったりで終わるはずだから……」という対策ばかりしていると痛い目を見るかもしれません。というか毎年多くの受験生が痛い目を見ています。

 あまり共通テストの形式に依存した対策ばかりしていると、少しひねられると得点率がいつもより3割減とか普通にありますので、計画を細かく決めすぎないことが大切でしょう。もちろんそれでも時間配分を間違えないようにするというのが本当の対策になると思います。もちろん私立や国立二次試験でも同様です。

 こういうケースが深刻なのはSJ型に多いような気がします。STP型などは筋が通っていると思えば常識を捨てていろんな実験をしてくれるのですが、SJ型だとまず常識だと思っていたことにいちいちつまづく傾向にある気がします。だから、こちらからいろいろカウンセリングをして可能性を探っている段階からいちいち「いやそれは……」「そんなこと言われても……」という反応をしてくるのでこちらとしても「うるせえよ何が管理してほしいだよ自分に合った勉強法なんて自分で探せよ」という気にもなります。

 SJ型がこういう傾向で考えてしまうのは何となくイメージ通りだと思います。Si優勢Ne劣勢なので、アドリブで考えることを嫌いがちだからです。実際に、模試の段階では最もひどい目に合うのは勉強に不慣れなSJ型であることが多いです。

 ただもちろんSJ全員がそうではなくて、勉強経験が豊富なSJ型は、「勉強に常識はない」ということを常識として理解できているので逆に柔軟なんです。

 とは言え、何度から躓きながら自分が必要だと認識した事柄については一生懸命ものにしようとしてくれるので、そこまでの辛抱だとも言えます。

 より問題なのは、Ne優勢Si劣勢のタイプ、すなわちNP型もこういう傾向に陥りがちだという点です。こっちの方がたちが悪いです。

 いわゆるSiグリップと言うやつで、いつものようにアドリブ一辺倒でうまく行かない時に、一般的な受験攻略法に執着し始めます。すなわち、英語は一日何時間、数学は一日何時間と勉強時間の配分を厳密に決めようとしたり、過去問をやるときにも大問1は何分で、大問2にはこの問題を飛ばして……など、傾向と対策に執着しようとします。

 Ne的な要素を持つ受験生がこういう状況に陥ってしまうと、十中八九深刻な停滞にさいなまれることになります。だって、本来そういう事が出来ない質なんですから。ADHDのくせに周りの健常者どもの解き方を真似したがります。

 事前にルーティンを作ったところで、どうせそのようにはなりません。ほぼほぼめんどくさくなって、いつも通り、いやいつも以上に質の悪いアドリブで乗り切ろうとするに決まっているのです。

 日頃の勉強ルーティンを決めようがどうせうまく行かないし、受験中の解き方をマニュアル化しようがどうせそうはなりません。Neが反応して計画外の事柄に執着するに決まっているのです。

 ENTPの私自身「どうせこうなる」ということが分かり切っていたので、最初からほとんどマニュアル的なものは決めませんでした。日々の勉強は以下の事ように取り組んでいたように思います。

 ・思い立ったらすぐ取り組む

 ・ただ過去問や模試の結果から必要だと思ったことしかしない

 ・先延ばしはしない。まずは何も考えず机に向かうこと

 ・最初の想定通りに勉強が進まなくてもとりあえず取り組んだ自分をほめる

 ・なるべく無計画に勉強を始めて嫌気がさしたら後3ページ、それが終われば意地でもう3ページというように進めた(長距離走のような感じ)

 ・100%の完成度になるまで次に進まない。強引に進めるのは甘えだと自己暗示をかける

 ・これ以上無理だと思ったら即座に切り上げる。

 計画は可能な限り立てず、とにかく最初の一歩を踏み出すこと、半端な完成度では終われないように自己暗示をかけることを徹底していたように思います。また、ある程度進捗があれば潔く勉強を終わらせることにも注意していたように思います。

 また、試験本番については「なるべくルーティンを決めない」という意識を持っていました。どうせ事前に決めたように脳が働かないからです。過去問の研究は徹底して行いますが、解き方までは決めません。もちろん大まかな時間設定は決めますが、細かい部分は自分のアドリブでなんとかできるように初見問題を積極的に解いていきました。

 ……自分語りがしたいわけではないです。

 何が言いたいのかというと、自分の性質を先回りして対策を考えることが大事だということです。また、自分の勉強経験や過去問を解いた経験を振り返ると何かしら欠点があるはずです。自己分析をしっかり行って、欠点を補う対策を考えなければなりません。

 客観的に欠点を述べることはできるでしょうが、その欠点を補うことが出来るのは自分しかいません。すなわち、誰になんと言われようが自分が納得していなければどうせ何も成し遂げられないのです。そのためにはアドバイスを求める前に自分で自分の事を可能な限り知る必要があります。

 一般的な解決法を追い求めるのも大事ですが、結局それを実践するには何よりも自分に合うかどうかですから、自分に合った、あるいは自分が心底大事だと思えることに取り組むのが何よりも効果的だと思います。

 塾講師は、それを見つける手がかりはできますが、それをゼロから提案することはできません。厳密に言えば提案はできますが、それを実践するかどうかは100%生徒の心持次第なのです。

 自分を知り、自分の欠点を知り、今自分に何が必要なのかを知らなければ効率的な勉強などあり得ません。それをある程度見据えた上であれば管理されることも有効だと思いますが、そういう部分すら誰かに放り投げ、ただ誰かに管理してほしい、縛ってほしい、指摘してほしいというクソ甘え根性の人間は何も成し遂げられませんので注意しましょう。